2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17590301
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
羽賀 博典 京都大学, 医学研究科, 助手 (10252462)
|
Keywords | 肝移植 / 細胆管 / 免疫寛容 / 胆汁うっ滞 / 液性拒絶反応 |
Research Abstract |
肝障害における細胆管の変化に近年注目が集まっている。我々は肝移植後に細胆管病変を起こしうる種々の疾患について,定性的・定量的な細胆管の評価法を検討すると共に,細胆管病変を来す疾患の診断に有用な免疫組織学的マーカーについて検討を行ってきた。今年度の研究実績の概要は以下の3点である。 1.C型肝硬変に対する肝移植後に高度胆汁うっ滞を来す症例の検討 C型肝炎ウイルス陽性例に対する肝移植では移植後の再感染は必発であり,ときに胆汁うっ滞性肝炎を来す。胆汁うっ滞性肝炎は臨床的にしばしば他の疾患との鑑別が困難である。我々は肝炎再発において細胆管の変化の有用性を検討した。Cytokeratin-7免疫染色による細胆管の形態の評価は敗血症や拒絶反応との鑑別に有用であったが胆管狭窄とC型肝炎の鑑別では画像情報を加味した総合的判断が必要であった。 2.肝移植後の免疫抑制離脱における細胆管の変化の解析 小児においては生体肝移植直後に免疫抑制剤を漸減してもグラフト肝障害を来さず,最終的に免疫抑制剤から離脱できる症例がある。それらの症例における肝組織の変化を検討した報告はほとんどない。当大学の移植外科との協同研究により,免疫抑制剤離脱症例では,慢性拒絶反応の基準を満たさないが,軽度の小葉間胆管萎縮と細胆管増生が見られることが明らかとなった。これらはSonzongi等が提唱している細胆管病変(Journal of Hepatology,2004)に類似していた。 3.ABO血液型不適合移植におけるC4d免疫染色の意義の検討 ABO血液型不適合肝移植後に見られる液性拒絶反応は組織学的に敗血症性胆管炎や硬化性胆管炎と類似する。このためABO不適合移植後の胆汁うっ滞の原因の検討に細胆管の形態以外のマーカーが必要である。我々は補体分解産物C4dの免疫染色が液性拒絶反応に有用であることを見いだした。
|