2006 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍における染色体不安定化の分子機構の解明とその臨床応用
Project/Area Number |
17590313
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
幅野 渉 岩手医科大学, 医学部, 助手 (50332979)
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Keywords | 染色体不安定化 / aneuploidy / DNAメチル化 / 腺管分離法 / 大腸癌 |
Research Abstract |
ヒト腫瘍で観察される染色体不安定化の分子機構の詳細は明らかにされていない。同一腫瘍内にdiploid(二倍体)およびaneuploid(異倍体)癌細胞が共存するmultiploid大腸癌を対象とし、両癌細胞間でDNAメチル化状態の異なる遺伝子を網羅的に検索し、染色体不安定化の関連遺伝子の同定を試みた。 Multiploid大腸癌34例において腺管分離およびソーティングを行い、diploidおよびaneuploid癌細胞核を分離・回収した。そのうち5例を対象にMCA(methylated CpG island amplification)法を行い、aneuploid癌細胞群におけるメチル化および脱メチル化が予想されるDNA断片11種および13種を同定した。このうちSALL4遺伝子および近接するZFP64遺伝子のプロモータ領域におけるメチル化は大腸癌の培養細胞株癌や癌組織で高頻度に検出され、mRNAの発現量現象による機能低下が予想された。特にSALL4遺伝子のメチル化はaneuploid癌細胞において高頻度に検出され、染色体の不安定化に関係する可能性が示唆された。SALL4遺伝子の遺伝子変異およびallelic imbalanceは認められなかったが、多型3種が検出された。特に1520T>G遺伝子型はploidy型と相関する傾向があり、染色体の安定化に影響を及ぼすmodifierとしての役割が推測された。 腫瘍における染色体の不安定化にともない、DNAのメチル化レベルがゲノムワイドで変化することが明らかになった。multiploid癌を解析モデルに用いた新しいアプローチは染色体不安定化の分子機構の解明に有用と思われた。SALL4遺伝子等のメチル化の臨床病理学的意義を考察中である。(印刷中)
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