2006 Fiscal Year Annual Research Report
β-カテニン系シグナルループによる子宮内膜癌の増殖抑制機構の解明と治療への展開
Project/Area Number |
17590315
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
三枝 信 北里大学, 医学部, 助教授 (00265711)
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Keywords | 子宮内膜癌 / β-カテニン / p16^<INK4A> / pRb |
Research Abstract |
平成17年度に引き続きβ-カテニンシグナルループによる子宮内膜癌(以下、内膜癌と略)細胞の増殖抑制機構の分子機構を検索した。これまでの検索結果から、β-カテニンはTCF4及びp300と複合体形成しp14/p53/p21系活性化を介して細胞周期をG1期で停止させることが判明した。そこで、平成18年度は、もう一つの細胞周期G1/S期調節系であるp16/pRb系に注目した。前回作成した外因性変異型β-カテニンを恒常的に過剰発現する内膜癌細胞(Ishikawa細胞)では、内因性p16の発現増加がmRNA及び蛋白レベルで確認できた。さらに、p16のプロモーター領域の解析を行うことにより、β-カテニンがTCF4非依存性にp16遺伝子の翻訳開始点から上流の-385bpから-280bpのプロモーター領域を刺激することにより、その転写能を増加させる事が判明した。一方、内膜癌細胞の増殖能はpRbのリン酸化及びp16の発現増加と相関し、その増殖抑制によりpRbのみが発現抑制されたことより、p16の発現誘導がpRb発現を抑制し、結果として内膜癌細胞の増殖が制御されることが示唆された。この結論を検証するために、外科的に切除された内膜癌組織検体の免疫組織学的検索を行ったところ、β-カテニンの核内異常集積巣に一致したp16の過剰発現及びpRbの発現低下が確認できた。以上から、β-カテニンは、p16の発現調節を介してp16/pRb系を改変し内膜癌細胞の増殖を抑制することが判明した。今後は、これまでの結果を総合的に捕らえ、β-カテニンシグナルループによる内膜癌細胞増殖制御機構の分子基盤を確立させることにより内膜癌のβ-カテニン遺伝子療法への展開を模索したい。
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Research Products
(1 results)