2005 Fiscal Year Annual Research Report
胃神経内分泌癌の生物学的特徴と分化制御におけるhASH1・Hes1遺伝子の役割
Project/Area Number |
17590316
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
蒋 世旭 北里大学, 医学部, 講師 (70276153)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三上 哲夫 北里大学, 医学部, 講師 (90286352)
岡安 勲 北里大学, 医学部, 教授 (20014342)
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Keywords | 病理学 / 胃癌 / 神経内分泌癌 / hASH1 |
Research Abstract |
1)非小細胞型の高悪性度胃神経内分泌(neuroendocrine, NE)癌の組織学的診断基準の樹立を目指し、北里大学病院・北里大学東病院で手術切除され、通常の胃腺癌と診断された2,835症例のH・E染色標本を見直し、NE腫瘍の共通な組織学的特徴(organoid構造、索状増殖パターン、腫瘍胞巣辺縁部のpalisading配列、ロゼット様構造)並びに細胞学的特徴(基本的にuniformな細胞形態、均一に分布する微細顆粒状の核質、薄いかつ滑らかな核膜、好酸性微細顆粒状の細胞質、不明瞭な細胞境界、緩い細胞間接着など)に基づいて、large cell neuroendocrine carcinoma(LCNEC)を疑う症例をputative-LCNECとして199症例を抽出した。免疫染色ではそのうち42症例と44症例が50〜100%と1%〜49%の腫瘍細胞にchromogranin A(CGA)あるいはsynaptophysin(SYN)陽性であり、それぞれLCNECとadenocarcinoma with NE differentiation(ACNED)と診断された。免疫染色にて確定診断された42症例のLCNECの組織学的特徴を更に詳しく分析し、LCNECの組織学的診断基準を提唱した(American Journal of Surgical Pathology,2006 in press)。肺のLCNECに比べ、胃LCNECがより多彩な組織像を示し、42例の胃LCNEC例が更に充実性型(solid type、計30症例)、腺管型(tubular type、計7症例)と硬化型(scirrhous type、計5例)に亜分類された。以上の結果より、LCNECは胃癌全体の約1.5%を占め、H・E染色標本にて認識可能な一つのpathological entityであることを証明した。胃LCNECの組織学的診断に当たって、通常のNE腫瘍でよく見られる構造的な特徴が重要である一方、個々細胞レベルの細胞学的特徴も非常に重要であることが示された。 臨床病理学的検討では、前記42症例のLCNECとランダムにpick-upした307症例の通常型腺癌(adenocarcinoma、 AC)の予後分析を行った。AC患者より、LCNEC患者の全体生存期間(overall survival)が遙かに短いことを証明した(p<0.0001)。更に、病期別に基づいた予後分析でも、AC患者よりLCNEC患者の生存期間が有意に短いことを証明した(American Journal of Surgical Pathology,2006 in press)。これらの結果により、胃LCNECは通常型腺癌より高悪性度の腫瘍であり、患者予後の面から見ても独立した一つの臨床的なentityとして扱われるべきと考えられた。 2)高感度非放射性in situ hybridization法を用いて、前記42症例の胃LCNECと20例のACに於けるhASH1の発現を調べた。全てのACにhASH1陰性である一方、28(63.6%)症例のLCNECにはhASH1の発現が確認され、hASh1が胃癌細胞のNE分化の決定遺伝子であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)