2005 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病網膜症における網膜血管病変形成の分子機構解析
Project/Area Number |
17590317
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
池田 栄二 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (30232177)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠田 肇 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30306766)
石田 晋 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (10245558)
岡田 保典 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00115221)
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Keywords | 糖尿病 / 網膜症 / 血液網膜関門 / 低酸素 / claudin-5 |
Research Abstract |
糖尿病網膜症における血液網膜関門機能の破綻機序について、誘因として組織低酸素状態に注目するとともに、中枢神経系の血管内皮細胞間tight junctionを構成する分子であるclaudin-5の関与に焦点をあて解析を進めている。これまで我々は、正常酸素濃度下のin vitro bEND.3細胞(マウス脳血管内皮細胞株)およびin vivoマウス網膜血管内皮細胞において細胞膜に限局した発現を示すclaudin-5が、低酸素濃度下では細胞膜から消失すること見出した。bEND.3を用いたin vitro系では、低酸素刺激によるclaudin-5発現変化が関門機能破綻に重要性な役割を果たすことを示す知見を得ている。本年度はin vivo系を中心に詳細な解析を行った。まず、低酸素濃度下(7-9%)で7日間飼育したマウスの網膜が網膜低酸素状態のin vivoモデルとして有用が否かについて、pimonidazole投与にて検討した。その結果、正常酸素濃度下に比し低酸素濃度下で飼育したマウスの網膜には有意なpimonidazoleの取り込みがみられ、網膜低酸素状態のin vivoモデルとしての有用性が確認された。このin vivo系において、低酸素刺激により網膜血管、特に末梢毛細血管の内皮細胞におけるclaudin-5の発現が消失すること、さらにはトレーサーとしてDextran (10KD)とHoechst (0.5KD)を用い、網膜血管の透過性、特に低分子量分子に対する透過性が亢進していることを見出した。Claudin-5ノックアウトマウスにおいては低分子量分子に対する血液脳関門機能が選択的に破綻するとの月田らの報告と合わせ考察すると、これらのin vivo系のデータは低酸素状態による血液網膜関門機能の破綻機序がclaudin-5の発現変化を介したものであることを強く示唆するものと考えられる。
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