2006 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病網膜症における網膜血管病変形成の分子機構解析
Project/Area Number |
17590317
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
池田 栄二 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (30232177)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠田 肇 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30306766)
石田 晋 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (10245558)
岡田 保典 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00115221)
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Keywords | 糖尿病 / 網膜症 / 血液網膜関門 / 低酸素 / claudin-5 |
Research Abstract |
糖尿病網膜症患者の視力障害の原因となる血液網膜関門機能破綻の機構について、我々は、誘因としての組織低酸素状態の重要性に着目し解析を進めている。これまでに、マウス脳血管内皮細胞株bEND.3細胞を用いたin vitro系、低酸素濃度環境下に飼育したマウスの網膜組織を材料としたin vivo系の両側面から、低酸素濃度下における血液網膜関門機能の破綻が、血管内皮細胞におけるclaudin-5(tight junction構成分子)の発現変化、特に、細胞膜からのclaudin-5の消失を介することを示す知見を得た。そこで本年度は、この低酸素濃度下の血管内皮細胞におけるclaudin-5発現変化の分子機構につき解析を行った。まず、低酸素刺激(1%O_2、24時間)によるbEND.3細胞膜からのclaudin-5消失が、細胞を正常酸素濃度下に戻すと約3日間で回復する可逆的な変化であることが示された。また、bEND.3細胞におけるclaudin-5蛋白質レベルとmRNAレベルを、Western blotting、realtime-PCRにて解析したところ、正常酸素濃度下に比して低酸素濃度下のbEND.3細胞においてclaudin-5蛋白質レベルが有意に低下するのに対し、mRNAレベルには有意な変化は見出されなかった。さらに、種々の細胞内蛋白質の分解に関与するユビキチン-プロテアソーム系の関与について、その阻害剤であるMG-132を用い解析を行った。その結果、低酸素刺激によるbEND.3細胞膜からのclaudin-5分子の消失が、MG-132の存在下では抑制されることが免疫染色にて示された。上記の結果から、低酸素刺激によるclaudin-5の発現変化が転写後の段階で制御されており、ユビキチン-プロテアソーム系が関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)