2006 Fiscal Year Annual Research Report
日本人乳癌におけるエストロゲン・レセプターβの臨床病理学的意義についての検討
Project/Area Number |
17590324
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
本間 尚子 (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団, 東京都老人総合研究所, 研究員 (70321875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田久保 海誉 (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団, 東京都老人総合研究所, 研究部長 (00154956)
秋山 太 癌研究会, 癌研究所・乳腺病理部, 研究副部長 (50222550)
坂元 吾偉 癌研究会, 癌研究所・乳腺病理部, 研究部長 (80085620)
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Keywords | 乳癌 / エストロゲン・レセプターβ / ホルモン療法 / 予後予測因子 |
Research Abstract |
1996年に従来のestrogen receptor(以下ER-α)に加え、第2のER(以下ER-β)が発見されて以来、世界中で乳癌におけるER-βの臨床病理学的意義が検討されてきた。しかし解析手法や抗体の多様性、多数のisotypeの存在(ER-β1、ER-βcx等)、対象の違い(人種、年齢、治療法、観察期間、研究規模)等種々の理由により、未だ明確なコンセンサスは得られていない。本研究では日本人乳癌におけるER-βの臨床病理学的意義を明らかにすることを目的として、術後ホルモン療法を施行し、長期予後の明らかとなった乳癌症例486例(23-81歳、観察期間120-260ヶ月、中央値154ヶ月)について、抗ER-β抗体4種(抗ER-β1、抗ER-βcx、抗ER-βN末認識monoclonal、抗ER-βN末認識polyclonal)、抗ER-α抗体、抗progesterone receptor (PR)抗体、抗HER-2抗体を用いた免疫組織化学的検討を行った。ER-β発現はいずれの抗体を用いた場合でも予後良好因子であったが、最も顕著に予後を反映したのは、抗ER-β1抗体であった。しかも、ER-β1発現はcut-off値によらず予後良好因子であり、予後予測因子として極めて安定であることがわかった。ER-β1発現は単変量解析のみならず、現在、予後因子として一般的に用いられている、腫瘍径、リンパ節転移状況、腫瘍異型度、ER-α発現、PR発現、HER-2発現、全てを考慮した多変量解析を行っても、腫瘍径、リンパ節転移状況とともに独立した予後因子となっていた。一方、腫瘍異型度、ER-α発現、HER-2発現は独立した予後因子とはなっていなかった。ER-β1の免疫組織化学的解析は、少なくとも日本人乳癌の長期予後を知る上で、極めて有用であると考えられる。
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