2005 Fiscal Year Annual Research Report
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17590328
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
谷田部 恭 愛知県がんセンター(研究所), 分子腫瘍学部, 研究員 (90280809)
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Keywords | 肺癌 / 上皮成長因子受容体 / 遺伝子変異検索法 / 腺癌 / 生検組織 / 遺伝子診断 / K-ras / 分子標的薬 |
Research Abstract |
本年度の目標である"EGFR遺伝子変異と末梢型肺腺癌"を検討するため、high-throughputな検索方法をまずは開発した。世界に先駆けて、DNA-RNA hybridのプローブとRNase Hを利用したreal-time PCRにて、高感度で正常細胞の混入に左右されない点突然変異同定法の系を確立した。また、遺伝子欠失に対しては、すでに確立されているfragment analysisを改良した。これらの検討から、確立した系は正常細胞に混入している5%の腫瘍細胞のEGFR遺伝子変異も検出可能であることがわかった。これらの結果をもとに、組織アレイの各々のドットより抽出したDNAに対して本方法を適応し、現在の標準的な検出法であるdirect sequencing法と比較した。その結果、98.3%の一致率を示し、その精度の高さが証明された。また、ゲフィチニブ(イレッサ【○!R】)投与の適応となる進行肺癌の多くは切除されることなく、生検組織が主たる組織材料となる。そこで、内視鏡などで採取される微小な生検組織での感度も検討した。結果としては、検出された遺伝子変異とゲフィチニブ反応性の間には有意な相関を認め、実臨床においても十分応用可能であることが示された。これらの結果はJournal of Molecular Diagnosisに投稿し、peer reviewの後に発表受理されている(in press)。さらに、これらの方法を発展させ、ゲフィチニブ投与後の不応と関連があるとされるT790Mの変異についても検出系を確立した。一部の症例では、リンパ節には不応遺伝子変異は認められないものの、主腫瘍ではそれが検出されたなど、腫瘍の進展や転移クローン解釈に重要な洞察を与える結果も得ている。これらの結果についてはすでに投稿し、審査中である。さらに、EGFR遺伝子変異とは排他的な関連を示すK-ras遺伝子についても検出系を確立することに成功した。これにより、同時性多発肺癌について検討を進めており、発表準備中である。 これらの遺伝子変異のデータを基盤とし、大規模な遺伝子変異データベースを作成し、共同研究にて進行中である発現解析の結果と付き合わせることで、EGFR遺伝子変異と発現解析による特定クラスターとの関連を検討したい。
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Research Products
(5 results)