2005 Fiscal Year Annual Research Report
成人T細胞性白血病/リンパ腫のゲノム異常、遺伝子異常の探索
Project/Area Number |
17590329
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
田川 博之 愛知県がんセンター(研究所), 遺伝子医療研究部, 主任研究員 (30373492)
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Keywords | アレイCGH / 成人T細胞性白血病 / リンパ腫 / 悪性リンパ腫 / ゲノム解析 / ゲノムコピー数異常 / 遺伝子増幅 |
Research Abstract |
成人T細胞リンパ腫/白血病は4つのサブタイプが知られている(急性型、リンパ腫型、くすぶり型、慢性型)。しかし、疾患を規定するような転座異常はまだ知られていない。 我々は、アグレッシブな臨床経過をとる急性型、リンパ腫型を中心にアレイCGHによるゲノム解析を行った(66症例)。 急性型は末梢血の花細胞(flower cells)陽性で腫瘍細胞含有率6割以上、細胞数1万以上の末梢血を対象に解析した。リンパ腫型はリンパ節腫脹があり末梢血に花細胞がない条件でリンパ節を対象に解析した。 これらのサブタイプのゲノム異常を比較すると、ゲノム異常のパターン(ゲノムプロファイル)は明らかに異なり、2つのサブタイプは明らかに異なる疾患単位であると考えられた。また、これらのサブタイプでは遺伝子発現の相違もみられた。例えばNF-kBを制御するCARMA1の発現異常様式は、両者で異なる。リンパ腫型においては、CARMA1の高発現はゲノム増幅が原因であるが、急性型では、ゲノム増幅の有無にかかわりがなく高発現する。また、BCL11B遺伝子は急性型では高発現しているが、リンパ腫型では、発現がない。 このように、ゲノムプロファイルの違いと遺伝子発現様式の違いから、この2つのサブタイプはまったく異なる疾患単位であると考えられる。さらにリンパ腫型は、ゲノム異常の複雑さから、複数の疾患単位から構成されていると考えられる(Oshiro and Tagawa et al, Blood 2006 in press)。
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