2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナチュラルキラーT(NKT)細胞の動脈硬化症に対する促進メカニズムの解明
Project/Area Number |
17590331
|
Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
岩渕 和也 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教授 (20184898)
|
Keywords | 動脈硬化症 / マウスモデル / 循環器 / NKT細胞 / リポ多糖 / アポリポプロテインE / CDld / 高脂肪食 |
Research Abstract |
1. NKT細胞のリガンドの1つであるβ-galactosylceramide(β-GalCer)は、動脈硬化病巣面積を減少させなかったが、HDLコレステロールを有意に増加させた。また通常食給餌下での血糖降下作用及び、ウェスタンダイエット給餌下での体重増加が認められた。これらの作用はCDldノックアウト(KO)マウスでは消失したので、β-GalCerはNKT/CDld系を介して作用していることが示唆された。また、この研究の経過中にCDld KOマウスではウェスタンダイエット(WD)給餌による体重増加が有意に抑制されていることを見出した。メタボリック症候群とNKT細胞機能との関連を示唆する知見と考えられた。 2.リポ多糖(LPS)投与によるアテローム増大にNKT細胞は深く関与していることを明らかにしたが、今年度は特にNK細胞の関与を抗アシアロGM1抗体投与で除去したC57BL/6(wildtype : WT)を用いて検討した。その結果、NK細胞除去によりNKT細胞による促進効果が低下し、アテローム増大にはLPSによる初発のNKT細胞活性化とそれに続くNK細胞の活性化が協同して寄与していることが判明した。 3. WD給餌によるNKT細胞動態・機能修飾をWT・CDld KOを用いて明らかにした。WTでは、脾臓におけるNK1.1^+/TCRβ^+,α-GC-loaded CDld dimer^+/TCRβ^+細胞が減少し、IFN-γ産生が低下した。ニワトリ卵白アルブミン(OVA)に対する増殖反応が抑制され、上清中に産生されるIFN-γが低下していた。この結果に相関し、OVAに対する遅延型過敏反応(DTH)も皮膚で低下していた。一方、増殖反応・DTHの抑制などはCDld KOでは認められず、NKT/CDld系を介したWDの作用と考えられた。Thl病モデルであるぶどう膜炎でWD給餌による症状の増悪は認めなかった。
|