2006 Fiscal Year Annual Research Report
膜型MMPの新規基質分子の探索とそのプロテオリシスによる細胞機能制御
Project/Area Number |
17590336
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
越川 直彦 東京大学, 医科学研究所, 助手 (70334282)
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Keywords | MT1-MMP / HB-EGF / EGF-R / Heparin-binding domain |
Research Abstract |
Heparin-binding EGF-like Growth factor (HB-EGF)はEGFファミリーに属する増殖因子であり、細胞膜結合型で発現し、ADAMファミリーのプロテアーゼにより切断されて遊離する。この可溶性のHB-EGFはパラクラィンの増殖因子として働き、EGF受容体(EGF-R)に結合し、シグナルを惹起する。そのため、HB-EGFを膜型から可溶型に変換するADAMファミリーのプロテアーゼよるsheddingはHB-EGFの増殖因子としての活性制御に重要と考えられている。一方、HB-EGFのN末端側のプロセシングは以前にいくつかの報告がされたが、HB-EGFの機能に影響を与えないことが報告されている。今回、我々は膜型MMP (MT1-MMP)がHB-EGFのN末端を切断すること、さらに、MT1-MMPによるHB-EGFのプロセシングはHB-EGF活性に影響を与えることを見出した。HB-EGFのEGFモチーフの上流にはヘパリン結合部位があり、HB-EGFがEGF-Rに結合するために、HB-EGFがヘパリンと結合する。そのため、塩基性アミノ酸で構成されるヘパリン結合部位がHB-EGFのヘパリン親和性に重要とされていたが、MT1-MMPがヘパリン結合部位の上流を切断すると、ヘパリン結合部位を保持しているにも関わらず、HB-EGFのヘパリン結合性は有意に低下する。さらに、MT1-MMPでプロセシングを受けたHB-EGFはそのEGF-Rライガンド活性にヘパリンを必要としなかった。以上から、HB-EGFはADAMによるプロセッシングとMT1-MMPによるN端のプロセッシングを組み合わさることで、より効果的なヘパリン非依存的なEGF-Rリガンドとして機能を獲得することが明らかとなった。
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