2005 Fiscal Year Annual Research Report
マウス生殖系列の成立とその幹細胞性を制御する機構の解析
Project/Area Number |
17590344
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木村 透 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (50280962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲野 徹 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (00172370)
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Keywords | 始原生殖細胞 / ES細胞 / EG細胞 / 幹細胞システム / PI3K / Aktシグナル / Wnt / β-cateninシグナル / 発癌 |
Research Abstract |
哺乳類の生殖細胞は、分化全能性をもつ幹細胞から発生する。この最初の生殖系列細胞である始原生殖細胞(PGC : primordial germ cell)は、胚性幹(embryonic stem : ES)細胞と同等の分化能をもつ胚性生殖(embryonic germ : EG)細胞に脱分化するという性質をもつ。我々は、これまでに、PI3K(phosphatidylinositide-3 kinase)シグナルの活性化が、PGCの脱分化を促進すること、ES細胞の未分化性を維持すること、を明らかにしてきた。 本年度は、以下の研究を行った。 1、ES細胞など様々な幹細胞システムにおいて機能しているWnt/β-cateninシグナルのPGCの発生における機能を解析したところ、このシグナルは、PGCの脱分化には関与しないが、増殖に重要であることが明らかとなった。同様のシステムを用いて、クロマチン制御因子などの脱分化に関与する可能性のある遺伝子について、生殖細胞特異的ノックアウトマウスを作製したので、来年度、その表現型を解析する。 2、様々な細胞におけるAktシグナルの機能を調べるために、Aktの酵素活性を自在に制御できるAkt-Mer融合タンパクを全身の細胞において発現するトランスジェニックマウスを作製した。このマウスを用いて、PGCにおいてAktシグナルを活性化したところ、EG細胞の形成効率が上昇することが分かった。この結果は、PI3Kの下流のAktシグナルが、PGCから多能性幹細胞への脱分化を担っていることを示している。また、Aktシグナルを神経幹細胞で活性化させると、幹細胞の自己複製能が亢進するというデータを得つつあり、組織幹細胞の人為的制御に向けての準備をおこなった。また、このマウスにおいて、Aktシグナルの活性化が、血管腫の発症と維持に重要であるという結果を得た。
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Research Products
(2 results)