2006 Fiscal Year Annual Research Report
マウス生殖系列の成立とその幹細胞性を制御する機構の解析
Project/Area Number |
17590344
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木村 透 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (50280962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲野 徹 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (00172370)
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Keywords | 始原生殖細胞 / EG細胞 / ES細胞 / 表皮幹細胞 / 幹細胞システム / PI3K / Aktシグナル / 発癌 |
Research Abstract |
哺乳類の生殖細胞は、分化全能性をもつ幹細胞から発生する。この最初の生殖系列細胞である始原生殖細胞(PGC: primordial germ cell)は、胚性幹(embryonic stem: ES)細胞と同等の分化能をもつ胚性生殖(embryonic germ: EG)細胞に脱分化するという性質をもつ。我々は、これまでに、PI3K(phosphatidylinositide-3 kinase)シグナルの活性化が、PGCの脱分化を促進すること、ES細胞の未分化性を維持すること、を明らかにしてきた。 本年度は、以下の研究を行つた。 1、PI3Kの下流分子であるAktシグナルの活性化が、PGCの脱分化に与える影響を調べるために、Aktの酵素活性を自在に制御できるAkt-Mer融合タンパクをランスジエニックマウスにおいて発現させた。その結果、Aktシグナル活性化が、PI3K活性化と同様に、PGCからEG細胞への脱分化を促進することを明らかにした。 2、土記のAkt-Merマウスを用いて、Aktシグナル活性化が、表皮の幹細胞システムに与える効果を検討した。その結果、休止期の毛包が成長期に移行し、発毛が誘導されること、毛包および毛包間表皮において前駆細胞の増殖が亢進することが分かった。この結果から、表皮幹細胞システムにおいて、Aktシグナルは、休止状態にある毛包幹細胞を活性化し前駆細胞を産生すること、前駆細胞の増幅を促進することが明らかとなった。 以上のように、Aktシグナルは、ES細胞やPGCにおいては、未分化性を維持するが、表皮などの組織幹細胞においては、幹細胞の活性化や前駆細胞の増幅を促進する。
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Research Products
(4 results)