2006 Fiscal Year Annual Research Report
尿管閉塞モデルにおける腎間質性線維化発症の分子機構
Project/Area Number |
17590358
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
村垣 泰光 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (40190904)
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Keywords | TGF-β / TNF-α / Smad3 / UUO / Snail / EMT |
Research Abstract |
マウスの尿管を片側性に結紮する(UUO)と腎臓は水腎症となり腎間質性線維化症を引き起こす。その分子機序としてUUOの刺激によりTGF-βが分泌され腎尿細管上皮細胞がオートクライン・パラクライン機構を介して反応し問葉系細胞に形質転換(EMT)を起こす結果、間質の線維化をきたすことが知られている。我々はこのEMTがTGF-βの細胞内シグナル分子の一つであるSmad3を介して起こる事をSmad3ノックアウトマウスを用いて示した。本研究では腎尿細管上皮細胞がEMTを起こす時、細胞内におけるSmad3の他の分子との分子間相互作用を解明する目的で行っている。CMVプロモーター下にSmad3を過剰発現するトランスジェニックマウスを作成した。このマウスでは、生後10週頃から眼のレンズ上皮細胞がEMTを起こしレンズが白濁することを見出した。またTNF-αノックアウトマウスにおいてUUOを行った実験では、UUO後2週までは腎間質性線維化症の程度は野生型マウスと比較して変化は見られなかったが、UUO後4週では明らかに線維化の程度が増大していた。この時EMTのキー分子の一つであるSnailの発現はαSMAおよびI型コラーゲンと共に増大していた。この機序として我々はTNF-αのTGF-βに対する拮抗作用を考え、TNF-αの細胞内シグナル分子であるNF-κBなどの分子に注目しその挙動をTGF-βシグナル分子との関連性において研究を進めている。
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