2005 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルソン病におけるCDld拘束性ナチュラルキラーT細胞の肝炎重症化誘導機序
Project/Area Number |
17590360
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
杵渕 幸 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教授 (30244346)
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Keywords | 自然免疫 / CD1d / 銅輸送ATPase / 複合遺伝子異常 / ウイルソン病 |
Research Abstract |
ウィルソン病(WD)は常染色体劣性銅代謝障害で、原因遺伝子(銅輸送P-type ATPase : ATP7B)は1)肝細胞内トランスゴルジネットワークにおいてHAH1より銅を受け取り胆汁中に分泌し、2)銅をセルロプラスミンと結合させ血中に放出する。ATP7Bの遺伝子異常により肝臓、脳、角膜などに銅が蓄積し組織を傷害するとされ、免疫系の関与は示されてない。申請者は、協力者らと共にWD患児3人を対象とした。症例1と2は、14才と12才の兄弟で血清銅とセルロプラスミン低値、肝脾腫なし、Kayser-Fleischer輪と神経学的徴候なし、肝機能と脳MRI正常、肝細胞内銅含有量増加、肝生検で軽度の肝細胞変性、少数の単核球浸潤、軽度の脂肪変性を認め、ATP7B遺伝子に父由来のエクソン15(L1083F)と母由来のエクソン18(D1296N)複合変異を認めた。症例3は14才女児で軽度の黄疸と貧血で発症し、Kayser-Fleischer輪陽性、血清銅高値、尿中銅排泄多量、脳MRIでレンズ核の軟化、グリオーシスと銅沈着を認め、ATP7B遺伝子に父由来のエクソン11(A874V)と母由来のエクソン8(R778L)の複合変異を認めた。5日後にクームス陰性の溶血性貧血を伴う劇症肝炎を発症、生体肝移植を施行され、摘出肝は銅含有多量、炎症細胞浸潤と巣状壊死を伴う大結節性肝硬変であった。全3症例で治療前末梢血中CD1d拘束性NKT細胞であるVα24陽性Vβ11陽性NKT細胞の絶対数が増加していたが、CD3陽性CD161陽性NKT細胞と総リンパ球の絶対数は正常であった。症例1と2のキレート剤治療後、症例3の生体肝移植後のVα24陽性Vβ11陽性NKT絶対数は有意に低下、症例3は正常化したが症例1,2は正常値まで回復せず。
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