2006 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルソン病におけるCDld拘束性ナチュラルキラーT細胞の肝炎重症化誘導機序
Project/Area Number |
17590360
|
Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
杵渕 幸 藤田保健衛生大学, 医学部, 准教授 (30244346)
|
Keywords | ウイルソン病 / 銅 / Invariant Vα14 |
Research Abstract |
今年度の成果:1.ウィルソン病における肝傷害を病理組織標本で詳細に検討した。現在一般的に銅の組織分布は、銅染色標本を光学顕微鏡を用いて観察している。この方法によって、ウィルソン病の肝組織における各肝細胞の傷害のレベルと銅の蓄積についての明瞭な相関関係を提示することはできなかった。そこで、硬X線を用いて1ピコのレベルまで光の波長をあげて組織における銅の局在を検討した。その結果、各肝細胞の傷害レベルと銅の蓄積の間に明徴な相関関係が存在することを示すことができた。詳しくは肝細胞の傷害レベルに銅の荷電数が関与している可能性をしめすデータを得ることができた。これらは複数の人の症例、およびウィルソン病モデルラットの双方において同様に事実として確認された。2.ウィルソン病における肝障害がInvariant Vα14陽性ナチュラルキラーT細胞によることを証明する目的で、肝炎を発症したラットから、この細胞分画をフローサイトメトリーで分離し、トランスファーされて肝炎を発症するラットの条件を検討している。その途中で、平成17年当初より使用していたウィルソン病モデルラットは銅トランスポーターATP7Bの遺伝子異常に加えて、レセプター型チロシンキナーゼの遺伝子異常を有することが判明した。これでは銅負荷に対する免疫系の反応を正確に知ることができないため、後者の遺伝子異常をはずし『ATP7Bの遺伝子異常』のみをもつ系統を、新たにウィルソン病実験モデルラットとして、当初の実験から繰り返すこととした。
|