2006 Fiscal Year Annual Research Report
生体内におけるバーシカンの機能:ノックインマウスを用いた研究
Project/Area Number |
17590361
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
渡辺 秀人 愛知医科大学, 分子医科学研究所, 助教授 (90240514)
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Keywords | バーシカン / PG-M / プロテオグリカン / 細胞外マトリックス / コラーゲン / TGFbeta / BMP |
Research Abstract |
1.バーシカン/PG-MのG1ドメイン内のAサブドメインを欠失したノックインマウスの解析を行い、同マウスが胎生期10.5-出生までの間に心形成不全によって死亡することを見出した。バーシカン完全欠損マウスと異なり、同マウスでは心臓の基本構造の形成に異常はないが、心室壁の拡張が観察され、これに伴う心不全が死因と考えられた。心拡張発症機構に関しては、細胞外マトリックス内のBMPとTGFbの貯留量およびこれら分子のシグナル伝達の異常にもとつく心筋細胞の分化障害が原因と考えられた(論文投稿中)。 2.バーシカン/PG-Mは軟骨分化初期の間充織凝集部位に特異的に高発現する。同分子の間充織凝集における役割をN1511細胞培養系を用いて検討し、同分子のコンドロイチン硫酸(chondroitin sulfate, CS)鎖が軟骨細胞の分化を促進することを明らかにした(Kamiya, N., et al., J Biol Chem, 2006)。 3.バーシカン/PG-Mは軟骨発生期のみならず軟骨に微量に存在することが知られている。関節軟骨のバーシカンを精製し性状解析を行ったところ、同分子がリンクタンパク質、ヒアルロン酸とともに会合体を形成していること、同分子が持つCSはアグリカンと比較して硫酸修飾の程度が低いことを明らかにした(Matsumoto, K, et al., J Biol Chem, 2006)。 4.軟骨は多量のコンドロイチン硫酸プロテオグリカンを含む。軟骨細胞のCS合成を司る糖転移酵素群に関して検討し、CSN-アセチルガラクトサミン転移酵素-1(CSGalNAcT-1)がCS合成の鍵を握る酵素であることを明らかにした(Sakai, K., et al., J Biol Chem., 2007)。
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