2005 Fiscal Year Annual Research Report
オーバル細胞の分化機構の解明とそれを応用した肝再生医療の開発
Project/Area Number |
17590363
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
辻村 亨 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (20227408)
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Keywords | オーバル細胞 / 肝幹細胞 / 肝再生医療 / Ws / Wsラット / hepatoma-derived growth factor / microarray / シグナル シークエンス トラップ法 |
Research Abstract |
劇症肝炎などの重症肝疾患に対して、肝幹細胞を用いて臓器を再構築させる再生医療の開発が望まれている。このような肝再生医療の実現化には、肝幹細胞の分化機構を明らかにすることが不可欠である。一方、我々は、肝幹細胞の1つと推定されているオーバル細胞にc-kitレセプター・チロシンキナーゼ(KIT)が発現することを示し、KITの機能が喪失するWs/Wsラットでは、オーバル細胞の発生は有意に抑制されることを見出した。そこで、本研究では、オーバル細胞に発現する分子を検索することを目的として、+/+ラットとWs/Wsラットにアセチルアミノフルオレン投与と部分肝切除を施行して、オーバル細胞の発生を促した後、ラットcDNA microarrayを用いて、オーバル細胞が出現した+/+ラットの肝臓とオーバル細胞の発生がみられないWs/Wsラットの肝臓における遺伝子の発現レベルを比較した。その結果、+/+ラットの肝臓における発現がWs/Wsラットの場合よりも有意に高い遺伝子群を見出した。これらの遺伝子がオーバル細胞に特異的に発現することを確認するとともに、その生物学的作用について解析を進めている。 また、肝癌や胎生期の発生過程の組織において発現していることが明らかにされているHDGF(hepatoma-derived growth factor)が、オーバル細胞に強く発現していることも見出した。HDGFは、肝癌ばかりでなく、オーバル細胞の分化や増殖に関与することが示唆され、肝再生過程において重要な役割を果たしている可能性がある。 更に、オーバル細胞株(OC15-5)からmRNAを抽出してcDNAライブラリーを作製し、シグナルシークエンストラップ法を用いて、OC15-5細胞株に発現する分泌型および膜結合型蛋白質のcDNA断片の単離を試みている。
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Research Products
(4 results)