2006 Fiscal Year Annual Research Report
オーバル細胞の分化機構の解明とそれを応用した肝再生医療の開発
Project/Area Number |
17590363
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Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
辻村 亨 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (20227408)
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Keywords | 肝再生 / オンコスタチンM / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
オンコスタチンM(OSM)はIL-6ファミリーに属するサイトカインであり、OSM特異的受容体欠損マウスでは肝再生が遅延することが知られている。最近、我々はWilson病の疾患モデルであるLECラットからオーバル細胞を分離して培養することにより、培養オーバル細胞株(OC15-5)の樹立に成功した。更に、OSMの受容体がオーバル細胞に発現することを見出すとともに、OC15-5細胞株を用いてOSMがオーバル細胞の分化因子であることを明らかにした。これらの結果を踏まえて、本年度は、ジメチルニトロサミン(DMN)を投与して肝障害を惹起したラットにrat OSM cDNAを導入し、肝障害と肝再生に対するOSM遺伝子治療の効果をしらべ、その臨床応用の可能性について検討した。hemagglutinating virus of Japan envelopeベクターで封入したOSM遺伝子を脾臓より投与すると、肝臓のKupffer細胞においてOSM蛋白の発現を認めた。このようなOSM遺伝子投与群では、発現ベクターを投与した対照群に比べて、体重、肝重量、血清アルブミン値が有意に高値を示し、血清肝障害マーカーであるAST、ALT、ビリルビン値も有意に改善した。また、OSM遺伝子投与群では、対照群に比べて、肝細胞の増殖が促進されるとともに、肝細胞壊死、炎症細胞浸潤、肝線維化、肝細胞のアポトーシスが抑制された。更に、予めラットにOSM遺伝子を投与すると、DMNによる肝細胞壊死の程度が軽減し、OSMには肝庇護作用もあることが明らかになった。OSMは抗炎症性作用を示すばかりでなく肝細胞の増殖とアポトーシスを制御する因子であり、OSM遺伝子治療は肝障害の治療法として有用であると考えられる。
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Research Products
(8 results)