2005 Fiscal Year Annual Research Report
トキソプラズマ毒性分子とTh2発現抑制siRNAによる樹状細胞ワクチンの開発
Project/Area Number |
17590367
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
青才 文江 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (80150316)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野呂瀬 一美 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (30156244)
矢野 明彦 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (20135122)
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Keywords | トキソプラズマ / 未熟樹状細胞 / 成熟樹状細胞 / Toll-like receptor / MyD88 / IL-12 / 抗原取り込み / MLR |
Research Abstract |
我々はトキソプラズマ由来HSP70(T.g.HSP70)が、宿主の死亡直前に急激に発現増加し、(1)NO産生低下による抗トキソプラズマ機能の低下、(2)自己免疫応答誘導B-1細胞の誘導、(3)防御免疫抑制B-2細胞の誘導、(4)Th1からTh2タイプへのシフト誘導などにより、宿主防御免疫を強力に抑制する毒性病原分子であることを明らかにし、このT.g.HSP70遺伝子を遺伝子銃により直接マウス皮膚の未熟樹状細胞(DC)に導入することによって、部分的ではあるが宿主に有効な防御免疫を誘導する有効なin vivo DCワクチンを開発している。 本年度の研究では、(1)マウス骨髄由来未熟DCの精製とT.g.HSP70による成熟DC誘導システムの確立と、(2)T.g.HSP70のDC成熟活性化におけるシグナル分子の役割解析を行った。まず、最初に、マウス骨髄由来未熟DCがT.g.HSP70によりex vivoで分化成熟し、IL-12産生が誘導されることを明らかにした。DCの分化成熟は、(1)DCのアクセサリー分子CD80,CD86,CD40およびMHCクラスI・クラスII分子の発現増加、(2)DCの抗原取り込み機能の低下、(3)MLRにおけるアロ反応性T細胞刺激機能の獲得により明らかになった。さらに、Toll-like receptor(TLR)欠損マウスを用いた解析により、T.g.HSP70は野生型(WT)およびTLR2欠損C57BL/6(B6)マウスの骨髄由来未熟DCは分化成熟させるが、TLR4欠損B6マウスの骨髄由来未熟DCは分化成熟させないことが明らかになり、T.g.HSP70による骨髄由来DCの分化成熟がTLR4を介することが判った。また、MyD88欠損B6マウスDCはWTやTLR2欠損マウスDCと同様にT.g.HSP70による骨髄由来DCの分化成熟がみられ、T.g.HSP70による骨髄由来DCの分化成熟において、TLR4の下流シグナルはMyD88アダプター分子非依存性シグナル経路を介することが明らかになった。トキソプラズマ毒性分子T.g.HSP70によるDCの分化成熟誘導およびTLRを介するシグナル解析について、既に国際誌に報告済みである(Cell stress & chaperones 2006 11(1):印刷中)。
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