2006 Fiscal Year Annual Research Report
トキソプラズマ毒性分子とTh2発現抑制siRNAによる樹状細胞ワクチンの開発
Project/Area Number |
17590367
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
青才 文江 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (80150316)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野呂瀬 一美 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (30156244)
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Keywords | トキソプラズマ / 樹状細胞 / 樹状細胞ワクチン / IL-12 / TRAM / TRIF / MyD88 / TLR / siRNA |
Research Abstract |
我々は、トキソプラズマ感染宿主を死に誘導する急増虫体由来毒性病原分子HSP70(T.g.HSP70)をクローニングし、このT.g.HSP70遺伝子を遺伝子銃により直接マウス皮膚の未熟樹状細胞(DC)に導入することによって、部分的ではあるが宿主に有効な防御免疫を誘導するin vivo DCワクチン開発に成功している。 本研究では、昨年度既に、(1)マウス骨髄由来未熟DCの精製とT.g.HSP70による成熟DC誘導システムを確立し、(2)T.g.HSP70のDC成熟活性化における自然免疫担当シグナル分子の役割を解析した。DCの分化成熟は、(1)DCのアクセサリー分子CD80,CD86,CD40およびMHCクラスI・クラスII分子の発現増加、(2)DCの抗原取り込み能の低下、(3)MLRにおけるアロ反応性T細胞刺激機能の獲得により明らかにした。また、T.g.HSP70によるDCの成熟誘導が、Toll-like receptor (TLR)4を介すること、TLR4の下流シグナルがMyD88アダプター分子非依存性シグナル経路を介することをTLR/MyD88欠損マウスを用いた解析により明らかにした。 本年度はさらに、(3)TLR4のMyD88非依存性下流シグナルアダプター分子TRAM/TRIFの関与を解析するためにTRIF欠損マウスを導入した。TRIF欠損マウスの骨髄由来未熟DCの分化成熟はT.g.HSP70により誘導されず、且つ、TRAM/TRIFシグナルを介するIFN-β産生がみられないことから、T.g.HSP70刺激によるDC成熟化のTLR4の下流シグナルはTRAM/TRIFを介することが解明された。さらに、(4)Th2発現抑制を目的として、マウスIL-10 siRNAを骨髄由来未熟DCに導入しT.g.HSP70刺激によるDCのIL-12産生を解析した結果、IL-10 siRNAによりIL-12産生が強化された。これらの研究成果を第11回国際寄生虫学会(ICOPAXI)で発表し、国際誌に報告した(Cell stress & chaperones 2006 11(1) 13-22)。今後、in vivo DCワクチン開発とex vivo DCワクチン開発を融合させ実用化ワクチン開発に向け研究を進めたい。
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