2006 Fiscal Year Annual Research Report
T細胞によって誘導される腸管寄生虫排除の最終段階におけるシアル化ムチンの作用
Project/Area Number |
17590378
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Research Institution | JIKEI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
石渡 賢治 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (00241307)
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Keywords | シアル酸 / 感染防御 / 粘膜免疫 / 粘液 / ムチン / 腸管寄生線虫 / マウス / Nippostrongylus brasiliensis |
Research Abstract |
1.T細胞によって誘導されたムチンによる腸管寄生線虫Nippostrongylus brasiliensis (Nb)の定着阻害 T細胞によって誘導されたムチンを小腸組織から生化学的に回収して、Nbと共培養した.培養したNbを未感染マウスの小腸に外科的に移入して、その定着率を定常状態のムチンと共培養したNbのそれと比較したが、有意な定着阻害は認めなかった.また、Nbを排除したばかりのマウス小腸に再びNbを外科的に移入することでNbを8時間以上シアル化ムチンに曝した.このNbの未感染マウスへの定着率を検討したが、定着率の有意な低下は認めなかった. 2.T細胞によって誘導されるNb排除における神経支配 Nbの排除には、小腸平滑筋収縮および粘液分泌も関与する可能性が指摘されている.そこで平滑筋収縮と粘液分泌を抑制する神経受容体による排除への影響を調べた.その結果、GABA受容体は排除にほとんど関与せず、α2受容体によって排除が抑制された.この作用はα2受容体拮抗薬によって解除されたが、拮抗薬単独投与では排除の促進は認めなかった. 3.排除にともなうNb虫体内ATPの低下 ムチンのNbに対する生理的作用の指標として虫体内のATP量を測定した.その結果、小腸上部の好適寄生部位から小腸下部へと移動する過程で虫体内ATP量の低下が認められた.この低下は、小腸腔内の酸素分圧が上部から下部にかけて低下していることを受けた可能性もある.これを支持するin vitro実験結果も得た.しかしながら、予備実験ではあるが、シアル化ムチンに暴露されたNbでATP量の減少を観察した. 4.T細胞によって誘導されたムチンの酸素分圧測定 Nbは好気的なエネルギー代謝系を持つことから、酸素分圧の比較的高いところを好むと考えられた.定常状態とNbの寄生状態で小腸腔内の酸素分圧を測定したところ、寄生状態で酸素分圧の低下を認めた.
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