2005 Fiscal Year Annual Research Report
バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)の病原性因子としてのバクテリオシンの研究
Project/Area Number |
17590384
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
富田 治芳 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (70282390)
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Keywords | バンコマイシン耐性腸球菌 / バクテリオシン / プラスミド / 病原性因子 |
Research Abstract |
米国ミシガン大学病院で分離されたバンコマイシン耐性腸球菌株VRE200(E.faecium株)からバクテリオシンプラスミドpHT200B(発表論文中ではpTI1)を分離した。pTI1(12.5kb)は腸球菌E.faecium、 E.hirae、E.duransに対して活性を示す新たなバクテリオシンBac32をコードしていた。pHT1の制限酵素地図を作成し、その全塩基配列を決定した。pTI1は12,463bpの大きさで、同一方向に転写される18個のORF(ORF1〜ORF18)をコードしていた。トランスポゾンTn5を用いた挿入変異株とPCRによる各ORFのクローンを解析した結果、Bac32遺伝子は2つの遺伝子bacA(ORF14)とbacB(ORF15)から成っていた。bacAはバクテリオシンの構造遺伝子であり、bacBは自身が産生するBac32に対する耐性(免疫)因子であった。bacAは89アミノ酸からなる蛋白質BacAをコードし、そのN末側に19残基のシグナルペプチドを持っており、分泌型Bac32は70アミノ酸であることが推測された。bacBは55アミノ酸から成る蛋白質BacBをコードしていた。BacAとBacBはともに既知の蛋白質とは相同性を示さなかった。PCR法のよってミシガン大学病院分離VRE636株のうち189株(29.7%)でBac32遺伝子を検出した。さらにpHT1プラスミドDNAをプローブに用いたサザンハイブリダイゼーション法による解析では、そのうち137株がpHT1類似のバクテリオシンプラスミドを保持していた。また、日本の臨床分離腸球菌E.faecium45株を同様に調べたところ、22株(39.3%)においてBac32遺伝子が検出された。一方、健常人からの糞便から分離されたE.faecium46株においては1株(2.2%)のみにBac32遺伝子が検出された。これらの結果は、我々が見出した新規のバクテリオシンBac32はVREを含め臨床分離E.faecium株に広く存在しており、腸球菌の定着性、病原性因子に関与していることを示唆している。
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Research Products
(2 results)