2006 Fiscal Year Annual Research Report
バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)の病原性因子としてのバクテリオシンの研究
Project/Area Number |
17590384
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
富田 治芳 群馬大学, 大学院医学系研究科, 講師 (70282390)
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Keywords | バンコマイシン耐性腸球菌 / バクテリオシン / プラスミド / 病原性因子 |
Research Abstract |
米国で分離されたバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)636株のバクテリオシン生産能を調べた結果、277株がバクテリオシン生産株であった。このうち21株はE.faecalis, E.faecium, E,hirae, E.durans, Listeria monocytogenesに対し強い活性を示すバクテリオシンを生産した。代表株VRE82(E.faecium株)からバクテリオシンプラスミドpDT1(6.2kb)を分離し、コードされる新規のバクテリオシンをBacteriocin43(Bac43)とした。決定したPDT1の全塩基配列の解析から、プラスミド上には同一方向に転写される9個のORF(ORF〜ORF9)が存在した。トランスポゾン挿入変異プラスミドの分離、解析と各ORFのクローン解析の結果、Bac43遺伝子は構造遺伝子bacA(ORF1)と免疫遺伝子bacB(ORF2)の二つから構成されていた。bacAは74アミノ酸をコードし、そのN末端側30アミノ酸はシグナルペプチドであり、活性型Bac43は44アミノ酸かち成る分泌蛋白であることが示唆された。bacAは95アミノ酸から成る蛋白をコードしていた。活性型Bac43は、これまで報告されでいる腸球菌のIIa型ベクテリオシンBac31およびRC714とアミノ酸レベルでそれぞれ86%、98%の相同性を示した。Bac43遺伝子をプローブとしたサザンハイブリダイゼーションの結果、他の20株全てにおいてpDT1と同一のサイズのDNA断片(62kb長のEcoRI断片)が検出されたことから、21株のVREはBac43をコードするpDT1類似のバクテリオシンプラスミドを保持していることが示された。一方、日本で臨床分離されたバンコマイシン感受性腸球菌株(E.faecium)にはpDT1類似のバクテリオジシプラメドは存在しなかった。
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Research Products
(5 results)