2005 Fiscal Year Annual Research Report
病原放線菌Nocardiaのマイクロアレイ解析に基づく新しい分類基準
Project/Area Number |
17590385
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
三上 襄 千葉大学, 真菌医学研究センター, 教授 (40092100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五ノ井 透 千葉大学, 真菌医学研究センター, 助手 (30134365)
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Keywords | Nocardia / 種の鑑別法 / gyrB遺伝子 / real time PCR / siderophore |
Research Abstract |
申請者らは世界に先駆けて、病原性の放線菌であるNocardia farcinieaの全ゲノムを解析して報告した。本研究では、そのゲノム情報に基づいて、Nocardiaの菌種に特異的な遺伝子を探索した結果、N.farcinicaに特異的な塩基配列を見いだすことができた。その遺伝子について、real time PCR法での検討の結果、本遺伝子の増幅が容易であり、さらにその特異性も確認することができたことから、臨床材料から頻繁に分離される25種のNocardiaについて、その特異性を検討した。その結果、本遺伝子を用いて、N.farcinicaを特異的に増幅することができ、他のNocardiaとの鑑別が可能であることも明らかとなり、現在、血液等を用いての本菌種による感染症の診断法の開発研究を進めている。 また、N.farcinicaの遺伝子配列情報から、微生物にとって必須遺伝子であるgyrB遺伝子が、Nocardiaの菌種においてその配列に特異的な部分があることを見いだし、今年度は58菌種のNocardiaのgyrB遺伝子の配列を決定することができた。これらの情報に基づいて、病原性のNocardiaは類縁菌属であるRhodococcusおよびMycobacteriumと、それぞれ82%および76%の相同性を基準として区別できることを明らかにした。また、本遺伝子は16S rRNA遺伝子よりも種の鑑別により有効であることを実際のデータで示すことができた。 N.farcinicaの病原因子の一つとして考えられているsiderophoreの生産に関与する遺伝子が、他の病原性Nocardiaに存在するかを、遺伝子配列情報を基にしたPCR法での増幅の有無で検討した結果、殆どの患者由来のNocardiaがこの遺伝子を有しており、病原因子としてのsiderophoreが病原性のNocardiaには普遍的に存在することを確認した。
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Research Products
(7 results)