2006 Fiscal Year Annual Research Report
病原放線菌Nocardiaのマイクロアレイ解析に基づく新しい分類基準
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17590385
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
三上 襄 千葉大学, 真菌医学研究センター, 教授 (40092100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五ノ井 透 千葉大学, 真菌医学研究センター, 講師 (30134365)
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Keywords | Nocardia / 種の鑑別法 / gyrB遺伝子 / real time PCR / siderophore |
Research Abstract |
1997年まではNocardiaの菌種は10種であり、病原性を有するものは7種であったが、2000年以降その数は急激に増え、2006年には60種となっている。Nocardia属の分類・同定は伝統的な形態や生理生化学的、さらに化学分類学的な手法を用いて行われてきたが、分子系統学的解析手段が発展したことにより、16S rDNAの配列解析が標準法となってきた。しかし、Nocardia属の放線菌においては、リボゾーム遺伝子の情報は限られており、これに代わる新規な遺伝子情報が求められていた。1995年にhousekeeping遺伝子であるgyrB遺伝子配列を用いた細菌の同定法が提案された。2004年N. farcinicaのゲノム解析が完了したことから、その情報をもとにgyrBの遺伝子に特徴的な配列情報を探索し、それらの情報を基にPCRプライマーの改良を行った。その結果、Nocardiaにとっても必須遺伝子であるgyrB遺伝子の特異的な増幅プライマーを作製することができ、60種の全ての菌種の遺伝子解析を行うことができた。その結果、Nocardiaの菌種のgyrB遺伝子の菌種間の相違幅は16S rDNAと大きく異なり,82.4-99.9%と格段に広いことが明らかになった。この情報をもとに、他の類似の菌属についてgyrB遺伝子情報を用いて違いを比較するとNocardiaは同じ抗酸菌であるMycobacteriumや、Rhodococcusからは、それぞれ82%および76%の相同性値により区別することができることが明らかになった。16S rDNAの場合に60種のNocardiaの菌種間の相違の幅は94.5-100.0%と極めて狭い範囲に多くの菌種が分布していることから、gyrB遺伝子情報は、菌種間の区別に極めて有用であることが確認でき、新しい分類体系として提案した。また、現在、同程度の解析が可能な他の遺伝子である、dnaJについても解析研究を共同研究として開始している。さらに特徴的な遺伝子分類体系を示すsecAについても検討して、その特異性を明らかにした。
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Research Products
(6 results)