2005 Fiscal Year Annual Research Report
AAAプロテアーゼによる腸管病原性大腸菌の病原因子発現調節機構
Project/Area Number |
17590387
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
友安 俊文 徳島大学, 工学部, 助教授 (20323404)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高屋 明子 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 講師 (80334217)
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Keywords | 腸管病原性大腸菌 / AAAプロテアーゼ / LEE / Type III輸送装置 / ClpXP |
Research Abstract |
腸管病原性大腸菌(EPEC)と腸管出血性大腸菌(EHEC)のAAAプロテアーゼ遺伝子(clpXP, clpAP, lon, hslVU)をPCR増幅の後にクローニングした。次に、クローン化された各々の断片にクロラムフェニコール耐性カセットを挿入した後に、suicide vectorに再クローニングした。このようにして得られたsuicide vectorでEHECとEPECのAAAプロテアーゼ遺伝子破壊株を作成した。これら遺伝子が確実に破壊されたことは、PCR法やウエスタンブロッティング法などで確認した。EHECとEPECの病原性には、LEE領域にコードされているTypeIII輸送装置とそれにより輸送される病原因子(EspA, EspB, Intimin, Tirなど)が重要な役割を果たしている。そこで、これら病原因子のAAAプロテアーゼ破壊株における細胞内存在量と細胞外への分泌量を病原因子に対する抗体を用いる事で検討した。その結果、EHECとEPECのclpXP破壊株において病原因子の細胞内存在量と細胞外への分泌量が著しく減少していることを確認した。なお、LEE領域は5つのオペロンから構成されている。そこで、LEE1〜5に存在する遺伝子でプローブを作成しノーザンブロッティングを行いそれらの転写量を検討した。その結果、clpXP破壊株において全てのオペロンの転写産物の量が著しく減少していることを確認した。なお、ClpXPプロテアーゼは定常期特異的な転写因子RpoSの分解に関わっており、RpoSによって特異的に合成が制御される因子がLEE領域の転写制御に負に関わっている可能性が考えられた。そこで、rpoS破壊株の作成を行いLEE領域の転写量をノーザンプロッティングによって検討した。その結果、rpoS破壊株においてLEE領域の転写の増加とrpoS, clpXP二重破壊においてclpXP破壊株の表現型を部分的に回復することを確認した。また、rpoS破壊株においてLEE領域の転写を抑制蛋白をコードしているyhiE、yhiFとyhiX遺伝子の発現量の減少がおこっていた。このように、ClpXPプロテアーゼはRpoSを経由する経路としない経路でLEE領域の発現をコントロールしていることを発見した。
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Research Products
(2 results)