2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17590388
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鳥居 啓三 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教授 (80324440)
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Keywords | セレウス菌 / ゲノム解析 / プラスミド / 系統樹解析 / MLST |
Research Abstract |
セレウス菌Bacillus cereusは食中毒の原因菌となる病原細菌である。セレウス菌による食中毒は臨床的に嘔吐型と下痢型に分類される。我々は嘔吐型食中毒事例より分離されたセレウス菌の全ゲノム解析から嘔吐毒素であるセレウリドの合成系が染色体ではなくプラスミド上にコードされていることを見いだした。昨年までにわれわれは嘔吐型セレウス菌と非嘔吐型セレウス菌のプラスミドを解析し、嘔吐型同様、非嘔吐型セレウス菌にも巨大プラスミドを持つものが存在し、その構造解析から嘔吐型セレウス菌のプラスミドと非嘔吐型セレウス菌のプラスミドの類似部分が45kb、25kb、50kbの3箇所であることが判明した。本年は嘔吐型セレウス菌と非嘔吐型セレウス菌のセレウスグループ細菌における遺伝的背景を探る目的で、近年細菌の分子疫学に汎用されるmultilocus sequence typingという手法を用いて染色体の解析を行った。検討した25株の嘔吐型セレウス菌は4つのsequence type (ST)に分類された(ST26,165,144,164)。このうちST26とST165はすでに報告のあったものであるが、今回我々が見いだしたST164はいままでに報告の無いものであった。さらにこのクラスターは炭疽菌にもっとも近いものであった。セレウス菌と炭疽菌は遺伝学的に近縁菌と考えられていたが、セレウス菌でも嘔吐型に限れば非常にクローナルな集団であり、この集団はごく最近の出現であることが推測される。
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Research Products
(2 results)