2005 Fiscal Year Annual Research Report
マクロファージ内感染後の結核菌による宿主防御免疫発現制御の分子機構
Project/Area Number |
17590389
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河村 伊久雄 京都大学, 医学研究科, 助教授 (20214695)
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Keywords | 結核菌 / サイトカイン / ケモカイン / アポトーシス / ネクローシス / カスパーゼ / マクロファージ / 肺胞上皮細胞 |
Research Abstract |
結核菌感染後に誘導されるサイトカイン、特に感染防御免疫の誘導に重要なIFN-γの産生誘導機序を調べる目的で、ストレプトマイシン依存性変異株18bを用いて解析を行った。この変異株は、ストレプトマイシン非存在下では増殖できず、増殖に必要な活発な代謝を誘導するためにはストレプトマイシンを添加する必要があることがわかっている。ストレプトマイシン存在下にマウスマクロファージを18bで刺激したところ、炎症性サイトカインであるTNF-α産生およびIFN-γ産生が誘導された。しかし、ストレプトマイシン非存在下ではTNF-α産生は誘導されたが、IFN-γ産生はほとんど誘導されなかった。この結果から、IFN-γ産生を誘導するためには、感染した菌がマクロファージ内で代謝することが重要で、TNF-α産生とは異なるシグナル伝達機構の活性化が必要となることが示された(Infect.Immun.73:7051-7055,2005)。 結核菌の細胞内寄生におけるアポトーシスの意義を明確にするため、マウスマクロファージ細胞株RAW264に結核菌H37Rvを感染させ、広域カスパーゼ阻害剤で処理してアポトーシスの誘導を抑制した場合の菌の細胞内増殖を調べた。その結果、感染細胞はネクローシスに陥り、菌の増殖が抑制されることが示された。また、この感染細胞のネクローシスはカスパーゼ9阻害剤で処理しても誘導されることが明らかとなった。これらの結果から、結核菌病原株の感染ではカスパーゼ9の活性化が誘導され、感染細胞のネクローシスを抑制する機序が働いていることが示された。 結核菌の上皮細胞への侵入に関与するMcelが、感染後の病態形成およびサイトカイン産生誘導に関与するか否かを調べるため、Mcelを発現したE.coliでヒト肺胞上皮細胞株A549を刺激した。その結果、Mcelを発現したE.coliはMcp1、RANTESやTNF-αなどの産生を誘導することが示された。また、これらサイトカインおよびケモカインの産生誘導には、菌の細胞内侵入が必要となることが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)