2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17590390
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
久堀 智子 大阪大学, 微生物病研究所, 特任助手 (20397657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 宏樹 大阪大学, 微生物病研究所, 特任助教授 (80222173)
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Keywords | 病原細菌 / レジオネラ / IV型分泌系 |
Research Abstract |
病原細菌であるレジオネラは病原因子を宿主細胞に送り込むための特有の輸送装置を細胞表層に持つ。IV型分系に分類されるこの輸送装置は10数種類のタンパク質から構成されると考えられているが、構成タンパク質を含め、その分子構造は未だ明らかにされていない。IV型分泌系は、解析の進んだIII型分泌系同様、細菌の内膜、膜を貫通した超分子集合体であると考えられるが、その分子構造や動作原理はIII型分泌系とはかなり異なる可能性がある。 平成17年度にレジオネラの膜画分を生化学的に単離して解析した結果より、レジオネラ細胞表層に局在しIV型分泌系の基部構造体の形成の核になりうるタンパク質をいくつか見出すことができた。この結果を元に、核となりうるタンパク質複合体を形成する数種類のタンパク質間の構築における相互作用を生化学的に同定する試みを行った。 その結果、 (1)細菌の細胞外膜に位置すると想定されるDotH、DotD、DotCが構造形成における中核となる。 (2)細胞内膜に位置するDotGとDotFはDotH/DotD/DotC複合体依存的に構造に取り込まれ、細胞内膜と外膜にわたる複合体を形成する、という可能性が示唆された。 また、興味深いことに、多くのレジオネラIV型分泌系輸送基質と相互作用し、これまでIV型分泌系の機能に必須であると考えられてきたDotFは必ずしも分泌機能には必要でないという結果を得た。さらにdotF欠根株は、宿主細胞への病原因子輸送を表す宿主細胞応答を示し、宿主細胞への輸送は、調べた限りすべての基質タンパク質にたいして一律に一定の減弱を与えた。これらの結果から、DotFはIV型分泌系の基本的機能に必要な構成タンパク質であるのではなく、むしろ、IV型分泌系による輸送の制御に重要な機能を持つタンパク質であることが示唆された。
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