2007 Fiscal Year Annual Research Report
バルトネラ菌由来血管内皮細胞増殖促進因子の分子生物学的解析と臨床応用
Project/Area Number |
17590396
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
吉家 清貴 Kagoshima University, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (70174886)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 紘 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (40107868)
|
Keywords | バルトネラ属 / ネコひっかき病 / 血管新生 / リンパ管内皮細胞 / 好中球 / 細胞走化性 |
Research Abstract |
(1)Bartonella henselaeが分泌する血管内皮細胞増殖促進因子の精製と物理化学的性状を明らかにした。精製は、陰イオン交換カラムとMicrocon Ultracel YM3を用いた。半透膜を利用する精製・濃縮法は不適であった。本因子は強度の塩基性等電点を有する14kDaのタンパク質であり、細胞調節タンパクの性状に矛盾しない物質であったが、泳動ゲルからの回収処理で容易に失活化したため確実なアミノ酸配列の決定に疑問が残った。(2)タンパク質精製のために、新たにB.henselae迅速培養法を開発し、同菌の臨床分離や同菌からのタンパク回収が容易となった。ネコひっかき病の診断・予防・疫学調査、同菌のタンパク解析に有用であり、同法にてノラネコから複数のB.henselaeを分離し、野性ネコに広く分布しているB.henselae株の病原性比較を行い、血管内皮細胞増殖促進活性、好中球走化性促進活性等に差異がないことを示した。(3)分離株中に血管内皮細胞増殖促進活性を有するがB.henselae用のプライマーで検出されない株を見出した。菌体タンパク電気泳動パターンでB.henselaeと差異があり、同活性を有するBartonella属または別属の新菌種である可能性が高かった。(4)同菌の多彩な生物活性のうち、好中球走化性促進活性因子が分泌性物質であり、N-formylpeptideではないことを明らかにした。B.henselae感染では特徴的なリンパ節炎を生じるが、リンパ管内皮細胞からのCCR21分泌と好中球表面のCCL7リガンド発現が亢進することを示し、病巣形成機序およびリンパ管内皮細胞と好中球の相互作用の解明につながる知見であった。
|
Research Products
(1 results)