2005 Fiscal Year Annual Research Report
細菌リポ多糖LPSによる傷害的活性の発現に対する調節機構の解明
Project/Area Number |
17590397
|
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
松浦 基博 自治医科大学, 医学部, 助教授 (20150089)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 慎二 自治医科大学, 医学部, 助手 (50195989)
|
Keywords | 細菌リポ多糖(LPS) / 内毒素 / IL-12発現調節 / LPSアンタゴニスト |
Research Abstract |
細菌リポ多糖(LIPS)の活性は、様々なメディエーターの作用を介して発現されるがIL-12は代表的なLPSメディエーターの一つである。産生量が適量であれば感染防御を始め生体にとって有益な活性を示すが、過剰になると傷害的な作用を引き起こしてしまう。我々は、LPSによるIL-12産生に対する抑制機構としてIL-12p40遺伝子のプロモーター領域に存在する抑制性エレメント(GA-12)の活性化が重要な働きをすることを株化細胞を用いた実験で示してきた。今年度の研究では、マウス腹腔浸出細胞を用いて生体反応に近付けた実験系で、LPS刺激に応じて産生されるIL-12量が高濃度LPSでは減少し、この抑制機構にもGA-12の活性化が重要な働きをしていることを見出した。この上流のシグナル伝達系として、MAPキナーゼ系の一つであるERK系の高活性化が重要な役割を担っていることを示す結果も得られた。IL-12産生誘導に至適な低濃度LPS刺激と共に、LPSとは異なる経路からERKを活性化する薬剤(PMA)を作用させ相加的にERKを高活性化させると、GA-12の活性化に伴いIL-12の産生が抑制される結果も得られ、このような薬剤を利用してIL-12の過剰産生を抑制できる可能性も見出せた。 ペスト菌のLPSに関する別の研究では、菌の培養温度を27℃(環境温度)から37℃(宿主体温)に変化させるとLPSの構造や活性に変化が見られ、37℃-LPSは27℃-LPSに比べアシル基数が減少しており、ヒトのマクロファージ系細胞(U937)に対する活性は大きく低下するが、その代わり27℃-LPSの活性に対して抑制的に働くアンタゴニストとしての活性を強く発現することを見出した。これはペスト菌のLPS間だけの作用ではなく、活性の強いサルモネラ菌のLPSに対する抑制効果も見られた。この抑制機構の解明は、LPSの傷害的作用に対する有効な抑制法の開発に結びつく可能性が考えられる。
|
Research Products
(1 results)