2006 Fiscal Year Annual Research Report
細菌リポ多糖LPSによる傷害的活性の発現に対する調節機構の解明
Project/Area Number |
17590397
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
松浦 基博 自治医科大学, 医学部, 助教授 (20150089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 慎二 自治医科大学, 医学部, 助手 (50195989)
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Keywords | 細菌リポ多糖(LPS) / 内毒素 / IL-12発現調節 / LPSアンタゴニスト |
Research Abstract |
グラム陰性細菌の共通成分である細菌リポ多糖(LPS)は、宿主細胞が発現するTLR4によって認識され自然免疫を活性化させる。この活性化は本来、宿主にとって有益な感染防御作用などの誘導に働くが、しばしば活性化が過剰に進み、有益な働きを障害し、むしろ宿主に有害な内毒素活性を発現してしまう。このような障害的活性の誘導を防止する調節機構の解明は重要であり、その機構について検討した。 IL-12はLPSの活性を仲介する代表的メディエーターであり、単独でも適量産生されれば有益な活性に繋がるが、過剰に産生されると有害な活性の誘導に向かって行く。活性型IL-12の産生調節はサブユニットであるIL-12p40の産生量に大きく左右されると報告されている。このサブユニットをコードする遺伝子のプロモーター領域には抑制性エレメント(GA-12)が存在し、LPS過剰刺激時にそれを働かせるためのシグナル伝達経路としてERK系(MAP系の一つ)の高活性化が重要な役割を担っていることを本研究で明らかにした。また、この調節機構は様々な細胞に広く存在すと思われるが、IL-12特異的で他のLPSメディエーターの産生調節には関与しないようであった。 一方、37℃で生育したペスト菌のLPSは、この菌の生育至適温度である27℃で生育した場合の活性型LPSとは構造的に変化し、活性型LPSの働きを抑制するアンタゴニストとしての作用を強く発現し、特に、ヒトの細胞系ではこの作用が著しいことを見出した。それはTLR4のアダプター分子であるヒトMD-2との相互作用に起因することが考えられる。この場合は、TLR4の下流にシグナルを伝えられなくなり、LPSメディエーターの産生誘導を一斉に抑えることが分かった。 数種のメディエーターをグループ毎に調節するような中間的な調節機構が見出せれば、応用価値はより高くなると考えられる。
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Research Products
(1 results)