2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17590400
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Research Institution | KEIO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
佐野 元市郎 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30383730)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 光一 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (40229422)
松井 英則 北里大学, 生命科学研究所, 講師 (30219373)
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Keywords | サルモネラ / マクロファージ / 細胞内寄生菌 / アポトーシス / 鞭毛 / アクチン脱重合 |
Research Abstract |
サルモネラがマクロファージに貧食されると宿主細胞にアポトーシスを誘導する。これまで我々は1-3%の感染マクロファージは多い場合は約50菌体ものサルモネラに感染しているにもかかわらず、アポトーシスを起こさず風船状に膨張してオンコティックマクロファージとなることを報告してきた。宿主細胞内に侵入したサルモネラは鞭毛を失い、運動しないとされてきたが、我々は免疫染色や動画撮影等により、オンコティックマクロファージ内部のサルモネラは鞭毛運動によって活発に動き回り、その後細胞外に脱出することを観察した。またマウスにサルモネラを静脈感染させ、様々な組織における感染マクロファージの観察を行ったところ、オンコティックマクロファージに酷似した細胞を見出し、肝臓、脾臓等の感染臓器においてサルモネラが鞭毛を発現していることを確認した。 宿主体内において自然免疫を誘起するとされる鞭毛をあえて発現させている現象に我々は注目し、平成18年度は生体内における鞭毛発現の意義を解明すべく実験を行った。1.鞭毛欠損株と鞭毛を発現する野生型のサルモネラを経口、もしくは静脈より感染させたが、脾臓、肝臓、血液等の感染臓器における増殖、及び致死率に有意な差は検出されなかった。すなわちこの実験系では鞭毛の発現は生体内における宿主側免疫に対する抵抗性、もしくは増殖に寄与していないことが示唆される。2.感染マウスより排出される糞便中のサルモネラ菌体数と脾臓、肝臓、骨髄や血液等の感染臓器における菌体数とを比較したところ、鞭毛欠損株は野生型のサルモネラに比べて有意に低かった。 以上の結果はサルモネラが宿主生体内において自然免疫を誘起する危険を冒しつつも鞭毛を発現し効率よく宿主細胞や個体より脱出していることを示すものである。
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