2005 Fiscal Year Annual Research Report
内因性抗菌ペプチドcathelicidinによる敗血症性ショックの分子病態制御
Project/Area Number |
17590401
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
長岡 功 順天堂大学, 医学部, 教授 (60164399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 泰介 順天堂大学, 医学部, 助手 (40384135)
桑原 京子 (新井 京子) 順天堂大学, 医学部, 助手 (10167976)
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Keywords | 感染症 / 細菌 / 敗血症 / 抗菌ペプチド / アナンダミド / エンドトキシン / リポ多糖(LPS) / マクロファージ・単球 |
Research Abstract |
[目的]真核細胞は生体を微生物感染から守るため種々の殺菌ペプチドを発現している。我々はこれまでに、cathelicidinファミリーに属するモルモット由来のCAP11(cationic antibacterial polypeptide of 11-kDa)が、細胞表面のCD14に対するLPSの結合を阻害し、エンドトキシンショックに対して防御的に働くことを明らかにしている。一方、内因性カンナビノイドであるアナンダミドはLPS刺激によりマクロファージ系細胞より産生され、エンドトキシンショックの患者血中では高値を示すことが知られている。そして、アナンダミドは血圧低下等を引き起こし、エンドトキシンショックの病態に関与する可能性が示唆されている。そこで本実験ではLPS刺激によるマクロファージ系細胞からのアナンダミド生成に対し、CAP11がどのような効果を及ぼすかについて検討した。 [方法]マクロファージ系細胞RAW264.7をCAP11存在下、非存在下にLPS刺激し、細胞および上清中のアナンダミドをBligh & Dyer法により抽出し、蛍光ラベル化した後、HPLCを用いて定量を行った。また、RAW264.7細胞上のCD14に対するLPS結合に及ぼすCAP11の作用をFACSで解析した。また、アナンダミド分解酵素であるFAAHの活性を、[^3H]標識アナンダミドを基質として測定した。 [結果・考察]LPSの刺激によるRAW264.7細胞からのアナンダミド生成に対して、CAP11(1μg/ml)はアナンダミド生成を有意に抑制した。さらに、CAP11はLPSのRAW264.7細胞への結合に対してもほぼ完全に抑制した。一方、CAP11並びにLPSは、FAAHの活性には影響を及ぼさなかった。以上の結果から、CAP11のエンドトキシンショックに対する防御作用の機序の一つとして、アナンダミドの生成抑制が関与することが示唆された。
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