2006 Fiscal Year Annual Research Report
環境に適応・応答するブドウ球菌の脂質組成とその合成系
Project/Area Number |
17590405
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Research Institution | Chugokugakuen University |
Principal Investigator |
林 英生 中国学園大学, 現代生活学部, 教授 (40033203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真鍋 芳江 中国学園大学, 現代生活学部, 助手(助教) (60331823)
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Keywords | ブドウ球菌 / 膜脂質 / カルジオリピン / ゲノム / 環境応答 / ストレス / シグマ因子 |
Research Abstract |
(1)10%食塩存在下で培養したS,aureusは、普通培地のものと比較して、増殖が遅く、菌体の体積(菌体径)は大きく、色素の産生が増強されたり抑制されるものがあった。リン質組成については、10%食塩存在下で、特にcardiolipin(CL)の増加の程度は分離菌株により異なり、また増殖期により異なる。酸・アルカリ・高温・低温刺激ではリン脂質組成に大きな変動はみられない。 (2)膜脂質の合成系はゲノムネットワークとして一連の合成酵素群が特定された。カルジオリピン合成酵素も特定できたが、当該遺伝子の欠損株の分離を色々試行したが、未だにS.aureusでは分離できない。一方、CL合成酵素の遺伝子をクローニングし、プラスミドで過剰発現系を作成しその発現を解析したところ、過剰発現は出来なかった。Lysylphosphatidylgrycerolの欠損株では膜にCLno増加があり、同時に細胞分裂が障害されることが見出されている。また、E.coliでは、酸性リン脂質、特にCLがoriCとATPに結合し、細胞分裂(DNAの複製)を抑制することが報告されている。S.aureusにおいてこれらの検証を継続している。 (3)S.aureusは3種類のσ因子をもっているが、そのうち外界ストレスなどに応答する役割はσ^Bにより担われている。σ^Bの機能を解析する過程で、膜脂質への影響を調べたところ、σ^Bの破壊株ではCLの産生に影響はなく、過剰発現株では増加していた。一方σ^Hは膜脂質系への関与はなさそうであった。σ^Bの過剰発現でCLの合成が促進されていることの意義を検討し、菌細胞膜内での合成の分子機構を明らかにしなければならない。 (4)細胞膜全体としての構造と機能、膜の新生、形態形成の機構について、ゲノム情報に基づいてより総括的にポストシークエンス研究を進展が望まれる。この観点から、これまでの細菌細胞膜研究の流れを見直し、特に膜脂質を中心に研究成果を検証して、次の課題を整理するために、レビューをした。
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Research Products
(2 results)