2007 Fiscal Year Annual Research Report
結核等病原性抗酸菌感染症に対する新しいワクチンの開発
Project/Area Number |
17590408
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
牧野 正彦 National Institute of Infectious Diseases, 病原微生物部, 部長 (60238889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 百美 国立感染症研究所, 病原微生物部, 主任研究官 (90311399)
山崎 利雄 国立感染症研究所, 病原微生物部, 主任研究官 (20230401)
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Keywords | 予防医学 / 細菌 / 免疫学 / 分子生物学 / 動物 |
Research Abstract |
病原性抗酸菌の主要抗原として同定した細胞膜抗原Major Membrane Protein(MMP)-IIに、結核菌のAg85由来分泌シグナルを結合させBCGに導入したリコンビナントBCG(BCG-SM)の、ワクチンとしての有効性を検討した。BCG-SMは、ベクターコントロールBCG(BCG-pMV)に比し、優位に強く、樹状細胞を介しCD45RO陰性ナイーブCD4陽性T細胞を活性化し、IFN-γの産生を誘導した。BCG-pMVは、ナイーブCD8陽性T細胞を活性化し得ないのに対し、BCG-SMはMMP-II抗原特異的に活性化した。GM-CSFを用いて産生したマクロファージにBCGを感染させると、CD4陽性T細胞を活性化したが、M-CSFを用いて作製したマクロファージではBCG-SMのみがT細胞を活性化した。BCG-SMはマクロファージからGM-CSFを産生させ、マクロファージの形質を転換することでT細胞を活性化した。マクロファージのプレカーサーである単球にBCG-SMを感染させると、そこから分化誘導したマクロファージは、抗酸菌の感染を受けても免疫抑制性サイトカインであるIL-10の産生をほぼ100%抑制した。従って、BCG-SMはT細胞の活性化に負の影響を与える因子の産生を抑制しうると考えられた。そこで、ワクチン接種の最大の目的であるメモリーT細胞産生能を検討した。BCG-SMは接種7週及び13週で、MMP-II及びBCG菌に反応するメモリーT細胞をBCG-pMVに比し有意に効率的に産生した。さらに、BCG-SMをワクチンとして投与し、4週後に病原性抗酸菌であるらい菌を足底にチャレンジすると、親BCGに比し有意に強くらい菌の増殖を抑制した。以上より、主要抗原を分泌するリコンビナントBCGは、病原性抗酸菌に対するワクチンとして有用な役割を果たすものと考えられた。
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