2006 Fiscal Year Annual Research Report
モノユビキチン修飾による小胞輸送蛋白質複合体依存性ウイルス増殖機構
Project/Area Number |
17590412
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Research Institution | Miyagi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
田中 伸幸 宮城県立がんセンター(研究所), 免疫学部, 部長 (60280872)
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Keywords | ウイルス / プロテオーム / モノユビキチン |
Research Abstract |
宿主の小胞輸送系は、ウイルスの細胞内侵入から最終的な成熟ウイルスの放出に至る一連のウイルス増殖においても密接に関与していることが推察されているが、その詳細は不明である。小胞輸送関連蛋白質(HrsおよびSTAM1,STAM2)複合体は、EGF受容体を始めとする蛋白の小胞輸送に関与する。本研究ではマウスサイトメガロウイルス(MCMV)感染増殖におけるSTAMs・Hrs複合体の役割を検討した。MCMVを、STAM1/SATM2ダブルノックアウト細胞株(SSd)、STAM1あるいはSTAM2を戻したSSd細胞株(SSdS1,SSdS2)、Hrsノックアウト細胞株(HRSd)および同遺伝子戻し細胞株(HRSdRe)に対してMOI=1にて感染させ、感染後短時間における輸送系の役割を検討した。感染6、12、24時間後に細胞内侵入ウイルス量、培養上清中のウイルス量をreal time-PCR法にて、Immediate early遺伝子であるie1をRT-PCR法により定量した。その結果、特にHRSd細胞において感染24時間後に初期遺伝子ie1の転写量が軽度低下していた。さらにHrs欠損細胞ではIE1蛋白量が顕著に低下していた。感染直後における各細胞内の取り込まれたウイルスDNA量に有意な差がなかったことから、HrsはIE1蛋白の分解誘導に機能しているものと考えられた。共焦点顕微鏡を用いた観察から、実際にHrs欠損ではIE1が細胞質に蓄積していた。以上の結果から、サイトメガロウイルス初期遺伝子IE1は一部細胞質に移行し、小胞輸送系蛋白Hrsによって分解誘導を受けることが判明した。IE1はウイルス複製に重要であることから、HrsはCMVウイルス増殖を負に制御する宿主因子であることが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)