2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17590415
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
白形 正樹 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (70251551)
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Keywords | シグナル伝達 / MAPK / 複製 / EBV |
Research Abstract |
本研究はシグナル伝達による潜伏感染Epstein-Barr(EB)ウイルスの複製の制御機構を解明し、そのライフサイクルにおける意義を明らかにするとしている。EBウイルスはヒトヘルペスウイルスに属し、伝染性単核症や慢性活動性EBV感染症の原因であるとともに、バーキットリンパ腫、上咽頭がんとの関連がありDNA腫瘍ウイルスでもある。これらの癌は日本においてはその症例が少ないものの予後が非常に悪いことが知られている。さらに自己免疫疾患との関連も指摘されている。一方、健常人においてEBウイルスは不顕性感染した後に宿主に深く潜伏する。健常人におけるEBウイルスのライフサイクルは粘膜上皮細胞と免疫B細胞の分化に密接に関連していることが知られている。 そこで、EBウイルスが関連する疾患ではウイルスは正常のライフサイクルから逸脱していると考えると、その原因を追究することが疾患の理解と治療法の開発に重要になる。我々はこの問題に対してシグナル伝達によるウイルス複製の制御の観点から研究を開始した。これまでに、ウイルス複製起点oriPがp38MAPKを介して抑制的に制御されていることを発見している。EBNA1にはMAPKによってリン酸化される可能性のあるアミノ酸配列は3箇所ある。そこで各アミノ酸をリン酸化を受けないアラニンに置換して、その複製活性への影響を検討した。その結果、あるスレオニン残基を置換すると複製活性が数倍亢進することが判明した。そこで、EBV感染細胞でのEBNA1のリン酸化状態を検討したところ。リン酸化を受けているアミノ酸は主にセリンでスレオニンは検出しなかった。したがって、スレオニンのアミノ酸置換はリン酸化とは関係が無いことが示唆された。この結果は、p38MAPKはEBNA1を直接リン酸化することによって制御している訳では無く、おそらく宿主細胞の複製装置を介して制御していることが示唆された。
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