2006 Fiscal Year Annual Research Report
EBウイルスLMP遺伝子によるB細胞分化修飾機構に関する研究
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17590417
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安居 輝人 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (60283074)
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Keywords | Bリンパ球 / ヘルペスウイルス / リンパ腫 / B細胞抗原レセプター / EBV |
Research Abstract |
【研究の目的】ヒトB細胞指向性のがんウイルスであるEpstein-Barrウイルス(EBV)は感染成立・腫瘍発生過程においてヒト免疫監視機構を巧妙に回避するが、その分子機構は明らかになっていない。本研究ではEBVの免疫監視回避機構の解明を目的としてEBV潜伏感染分子をB細胞特異的に発現するトランスジエニックマウス(tg)の作成を行い、それら分子のB細胞分化・活性化に対する影響や形質転換能の分子メカニズムを明らかにすることを試みた。 【結果】1)EBNAltgにおけるB細胞形質転換-EBNA1はEBV由来潜伏感染核蛋白でp53安定性に関与した発がん活性が示唆されてきた。Igエンハンサー/polyoina初期遺伝子プロモーターの下流に連結されたEBNA1遺伝子をトランスジーンとしてB細胞特異的発現EBNAltgを作製した。EBNAltgのリンパ腫の自然発症率はコントロールと差は認められず、個体レベルにおけるEBNAlのB細胞の形質転換能は他のEBV遺伝子あるいは宿主遺伝的背景に依存している可能性が示唆された。2)テトラサイクリン誘導性LMP1及びLMP2atg-B細胞特異的かつテトラサイクリン投与によってLMPを発現するtg数系統を樹立し、それらB細胞特異的発現を確認した。さらにLMP1tgにおけるB細胞初期分化障害が認められた。この結果は、LMP1が新たな免疫系細胞の分化修飾メカニズムによりEBV潜伏感染に寄与している可能性を示唆している。3)LMP1による細胞形質転換機構の分子メカニズムーLMP1細胞膜領域における自己凝集能に必須なドメインを同定し、LMP1のIntemolecular Interactionの阻害がEBV関連疾患の治療戦略となりうることを示唆した。
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