2006 Fiscal Year Annual Research Report
EBウイルス依存性に発現変化する細胞遺伝子群の網羅的解析
Project/Area Number |
17590418
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
今井 章介 高知大学, 医学部, 教授 (60232592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 正幸 高知大学, 医学部, 助手 (00253005)
松本 健治 国立成育医療研究センター研究所, 免疫アレルギー研究部, 室長 (60181765)
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Keywords | EBウイルス / 発癌責任遺伝子 / マイクロアレイ / 上皮細胞 / T / NK細胞 / サイトカイン |
Research Abstract |
本研究は、申請者らが独自に開発したEBV駆逐分子dominant-negative EBNA1(DNE1; Mol.Ther.,11(4):578-90,2005)を活用して、EBV陽性腫瘍細胞株からウイルスを脱落させ、EBV陽性・陰性のisogenic細胞株ペアを作製し、両者の腫瘍性増殖と細胞側遺伝子を網羅的に比較することで、EBVによる細胞癌化機構を解析することを目的に実施し、研究期間内に以下の成果を得た。 1)DNE1をアデノウイルスベクターにてEBV陽性T/NK腫瘍細胞株、上皮性細胞株に導入発現させたところ、数日内に大半の細胞からEBVゲノムを脱落させることに成功した。 2)DNE1導入によってEBVゲノムが脱落した細胞は、EBV陽性親細胞株に比べ、有意な細胞倍加時間の延長や足場非依存性増殖能の低下などの悪性形質を喪失、あるいは一部は細胞死に陥った。 3)EBV陽性のT/NK親細胞株と、DNE1導入によりEBVゲノムが陰性化したT/NK細胞株を経時的にMulti-cytokine assay、GeneChipマイクロアレイ解析にて比較検討した結果、EBVゲノム陰性化細胞株でinterleukin-9を含む数種のサイトカイン産生の著明な低下を認めた。同時に、逆に産生が上昇したサイトカインもあった。 以上の結果は、EBVが特定のサイトカイン産生促進によるantocrine機序などを介して、B細胞腫瘍だけでなく、T/NK細胞腫瘍や上皮性腫瘍の発生にも深く関与している可能性を示すものであり、今後さらにこれらEBVに関連して発現変化するサイトカイン遺伝子の制御機構と、細胞悪性化に果たす分子メカニズムの詳細な解明に向け(計画中)、極めて有用な情報を得ることができたと考えられた。
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Research Products
(14 results)