2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17590424
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
福士 秀悦 国立感染症研究所, ウイルス第一部, 主任研究官 (80373398)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 哲也 国立感染症研究所, ウイルス第一部, 主任研究官 (70281681)
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Keywords | SARSコロナウイルス / レセプター / ウイルスの馴化 / ウイルス遺伝子変異 |
Research Abstract |
重症急性呼吸器症候群(SARS)の原因ウイルスであるSARSコロナウイルス(SARS-CoV)は、ラットへ実験的に感染させてもウイルスが十分に増殖できない。本研究では、SARS-CoVをラット型レセプター(ラットACE2)を発現する哺乳培養細胞で継代培養し、ラットに馴化したSARS-CoVを分離するとともに、SARS-CoVが異なる動物種へ馴化する分子メカニズムについて検討した。平成17年度の研究からSARS-CoVはラットACE2を効率よく利用することができないことが明らかになった。しかし、SARS-CoVなどのRNAをゲノムとして持つウイルスは培養細胞を用いて複数回継代培養することにより、ゲノムに変異を生じることが多い。このことから、ラットACE2発現細胞でSARS-CoVを複数回継代培養することにより、ラットACE2に依存したウイルスゲノムの変異の蓄積あるいはセレクションが生じ、その結果ラットACE2に馴化したウイルスが分離される可能性が高い。そこで、平成18年度は、ラットACE2を発現するCHO細胞で継代した。ラットACE2発現細胞で15代継代することにより、ラットACE2発現細胞で高い増殖性を示すウイルス(ratP15)を得ることが出来た。ratP15のS遺伝子にはS1ドメインのレセプター結合部位(RBD)に変異がなく、S2ドメインに2カ所アミノ変異が認められた。従来、S1ドメインのRBDの変異が馴化に重要であると考えられていたが、ratP15ではS2ドメインにアミノ酸変異が認められたことから、SARS-CoVの他動物種への馴化には、RBDの変異のみならず、S2ドメインの変異によるS蛋白全体の構造変化なども関与すると考えられた。
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Research Products
(3 results)