2005 Fiscal Year Annual Research Report
EBウイルス感染におけるCD40-CD40Lシグナルの役割に関する研究
Project/Area Number |
17590427
|
Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
今留 謙一 国立成育医療センター(研究所), 母児感染研究部, 流動研究員 (70392488)
|
Keywords | EBウイルス / CD40 / CD40リガンド / 感染免疫学 |
Research Abstract |
ヘルペスウイルスに属すEBウイルス(EBV)は、伝染性単核症(IM)、慢性活動性EBV感染症(CAEBV)、免疫不全宿主のリンパ増殖性疾患等の病因となる。EBV感染リンパ球の増殖がこれらの疾患の根本原因であることから、増殖阻止法の開発が新規治療法に直結すると考えられる。今留らはProc.Natl.Acad.Sci.USA 100:7836-7840,2003において(1)EBV感染によりBリンパ球にCD40Lの発現が誘導される。(2)CD40とCD40Lの相互作用を阻害すると、アポトーシスが亢進し、不死化の効率が著しく低下する。(3)CD40Lを欠損するX連鎖高IgM症候群(XHIM)患者由来のBリンパ球は不死化の効率が著しく低いが、CD40を刺激すると不死化効率が回復する。(4)T細胞株にEBVを感染させるとCD40の発現が誘導される。 そこで、EBV感染が報告されている全ての宿主細胞におけるCD40シグナルの解明を通し、EBV感染細胞の増殖制御を目指した。CD40はB細胞などの抗原提示細胞に発現され、CD40リガンド(CD40L)は主に活性化T細胞に発現される。B細胞の活性化においては、抗原刺激とT細胞からのヘルプの二つのステップが必要であるが、CD40LによるCD40の刺激は後者の中心シグナルとなり、さらに胚中心の形成、クラススイッチ、体細胞超変異、記憶B細胞の分化などにも必要となる。 平成17年度の研究成果として明らかとなったことを以下に示す。 1)慢性活動性EBV感染症(CAEBV)および鼻性T/NK細胞リンパ腫由来のEBV感染細胞株(NK細胞3株,αβT細胞1株,γδT細胞4株)ではCD40とCD40Lの両方が発現していた。2)上記細胞株においてCD40/CD40Lシグナルを阻害すると、アポトーシスが亢進した。3)全てのCAEBV患者末梢血においてEBV感染T細胞にCD40の発現を検出した。また、このCD40へのシグナルがアポトーシスを抑制した。骨髄移植による治療を経た後、感染していたT細胞にCD40の発現は検出されなかった。4)EBV感染によりT,NK細胞上にCD40,CD40Lが共発現するが、CD40Lへのシグナルではなく、CD40へのシグナルがアポトーシス抑制および細胞増殖に働いている。 以上をまとめると、EBV感染T,NK細胞で、CD40/CD40Lの共発現が検出され、感染細胞のアポトーシス回避に働いていることが示された。また、このCD40へのシグナルを阻害することで感染細胞のアポトーシス亢進が見られたことから、CD40シグナル阻害による感染細胞制御の可能性が示された。このことから、感染細胞におけるCD40シグナルの解析がEBV感染関連の重篤な疾患の治療の基盤に成り得ると考えられる。
|
Research Products
(1 results)