2005 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ球ホーミングを支配する高内皮細静脈特異的な接着機構と感染刺激による制御
Project/Area Number |
17590432
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 稔之 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (30217054)
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Keywords | リンパ球ホーミング / リンパ節 / 高内皮細静脈 / 細胞接着分子 / ケモカイン / ローリング / nepmucin / L-レセレクチン |
Research Abstract |
【目的】高内皮細静脈(high endothelial venule : HEV)はリンパ球との特異的な接着反応を通じて、血液系からリンパ節へのリンパ球の移住(リンパ球ホーミング)を媒介できる唯一の特殊な小静脈である。本年度は、HEVに特異的な細胞接着の分子機構を明らかにするために、独自に同定したムチンドメインとIgドメインをもつ新しい細胞接着分子nepmucin(mucin not expressed in the Peyer's patches)に焦点を絞って解析を進め、以下の成果を得た。【結果と考察】1.nepmucinはムチンドメインにHEV特異的な糖鎖修飾をうけ、L-セレクチンリガンドとして機能する:新しいムチンコア蛋白質であるnepmucinは、リンパ節HEVに発現するがパイエル板HEVには発現しない特徴をもつ。リンパ節HEVにはalternative splicingにより形成される4種のnepmucin isoformが発現する。リンパ節HEVに発現するnepmucinの糖鎖修飾を解析した結果、少なくとも2種の高分子量nepmucuin isoformがin vivoでHEV特異的なL-セレクチン結合性糖鎖修飾をうけることが示された。また、in vitroのL-セレクチン結合性糖鎖再構成系を用いた実験から、nepmucinのムチンドメインがL-セレクチン結合性糖鎖の付加とL-セレクチン依存性リンパ球ローリングに必須であることが示された。2.nepumicinはIgドメインを介してリンパ球を接着し、ICAM-1と協調して機能する:野生型nepumicinおよび種々の変異nepmucinのFcキメラ蛋白質を固相化し、リンパ球接着試験を行った。その結果、nepmucinはN末端のIgドメインを介して、リンパ球を接着することが明らかになった。またnepmucin,ICAM-1およびケモカインCCL21を種々の組み合わせで固相化し、生理的なflow条件下でリンパ球の接着を解析した結果、nepmucinはICAM1と協調してケモカイン刺激により誘導されるリンパ球接着を効率的に誘導することが示された。さらにnepmucinの第一・第二エクソンを欠損させるターゲティングベクターを用いたnepmucin欠損マウスの作製を行い、ヘテロマウスが樹立された。
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