2005 Fiscal Year Annual Research Report
デスレセプターによるネクローシス細胞死の新規シグナル伝達分子の同定と機能解析
Project/Area Number |
17590434
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大石 一人 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (60273702)
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Keywords | ネクローシス / TNF / Fas / IL-1 / Rhomboidセリンプロテアーゼ / ストレス活性化キナーゼ / IκB-α |
Research Abstract |
ネクローシス様細胞死のシグナル伝達機構を明らかにするため、TNF-α刺激により非常に効率よく細胞死を起こすL929細胞を用いて、細胞死を抑制する分子の単離を行った。 マウス胎児及び3T3細胞レトロウイルスcDNAライブラリーをL929細胞に感染させてTNF-αで刺激し、生き残った細胞に対してレトロウイルスgag-pol及びenvを発現するアデノウイルスを感染させ、ゲノムにインテグレーションされているレトロウイルスゲノムをウイルス粒子として培養上清に回収した。この過程を繰り返したところ、4サイクル目よりTNF-α選択後の生存細胞数が増え始めたので、6サイクル目の生存細胞ゲノムから濃縮された遺伝子をPCRにより増幅した。 両方のライブラリーでcFLIPが濃縮されてきた。また、両ライブラリーからRhomboidセリンプロテアーゼファミリーに属する2つの遺伝子の5'末端を欠失した変異型が取れた。これらの変異型をヒトFasを高発現するL929hFas細胞を導入すると、抗Fas刺激による細胞死は全く抑制しないが、TNF-α刺激による細胞死を有意に抑制した。変異型Rhomboid発現細胞では、TNF-α刺激による活性酸素の産生や、JNKおよびp38キナーゼの活性化、IκB-αの分解は抑制されていたがERKおよびAKTキナーゼの活性化には影響がなかった。また、IL-1による上記キナーゼの活性化や、IκB-αの分解には全く影響がないことから、変異型Rhomboidによるシグナル伝達の抑制はTNFレセプターに特異的であると考えられた。しかしながら、全長RhomboidはTNF-α刺激による細胞死を抑制できなかったことから、変異型Rhomboidはドミナントネガティブとして働いているのではないかと予想してRhomboidの生理的機能の解析を進めている。
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