2007 Fiscal Year Annual Research Report
B細胞抗原受容体固有のCyclin D2誘導シグナル伝達経路の解析
Project/Area Number |
17590440
|
Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
五十嵐 英哉 Kawasaki Medical School, 医学部, 講師 (40291538)
|
Keywords | 免疫学 / シグナル伝達 / 発現制御 |
Research Abstract |
これまでに新規タンパク脱リン酸化酵素結合分子G5PRがB細胞抗原受容体を介するシグナル伝達経路の下流にあって、B細胞の生存に必須であることをB細胞特異的G5PRノックアウトマウスを用いて明らかにしてきた。今回我々はT細胞特異的にG5PRを欠損したマウスを作製し、T細胞におけるG5PRの役割を検討した。このG5PR欠損マウスの胸腺は野生型に較べて1/3に萎縮し、CD4/CD8二重陽性の胸腺細胞が野生型の1/10以下に激減していること、および、CD4あるいはCD8単独陽性の成熟胸腺細胞がほとんど存在しないことがわかった。CD4/CD8二重陰性の胸腺細胞は野生型とほぼ同じ程度であった。残存するCD4/CD8二重陽性の胸腺細胞ではG5PR欠損B細胞で認められたc-jun terminus kinase(JNK)の恒常的活性化を認めたものの、アポトーシス実行分子であるBimの発現ならびにその活性化を認めなかったため、B細胞とは異なるメカニズムでT細胞の生存に関わっていることが示唆された。検討を重ねたところG5PR欠損CD4/CD8二重陽性胸腺細胞ではアポトーシスシグナルを伝達するFasLの発現が野生型に較べて倍程度上昇していることが明らかとなった。JNKの標的分子としてFasLが示唆されていることから、おそらくG5PRがJNKを直接、あるいはその上流を抑制してFasLの発現を抑制的に制御し、CD4/CD8二重陰性胸腺細胞からCD4/CD8二重陽性胸腺細胞に分化するときの生存に深く関与していることが明らかとなった。
|