2008 Fiscal Year Annual Research Report
B細胞抗原受容体固有のCyclin D2誘導シグナル伝達経路の解析
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17590440
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
五十嵐 英哉 Kawasaki Medical School, 医学部, 准教授 (40291538)
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Keywords | 免疫学 / シグナル伝達 / 発現制御 |
Research Abstract |
これまでに新規哺乳動物プライマーゼであるGANP分子に会合する脱リン酸化酵素結合分子G5PRが、成熟Bリンパ細胞、胸腺のCD4/CD8 double positive Tリンパ細胞の生存に必須の分子であることを明らかにし報告した。GANPの多彩な機能を説明するために、G5PRに加えアルギニンメチル化酵素であるPRMT5が、Bリンパ細胞のなかでGANPと複合体を形成していることを免疫沈降法、質量分析計を用いたMAS解析によって同定した。PRMT5はB細胞の活性化にともないその発現が誘導され、マウス胚中心B細胞では発現が強く誘導されると同時に、対称性にアルギニン残基がメチル化を受けたタンパク群の増加が見られた。抗原受容体からの刺激およびIL-4の存在下で、転写因子STAT6がリン酸化のみならずアルギニン残基のメチル化を受けることを見出した。GANPを欠損したマウスから得たB細胞と、野生型マウスから得たB細胞を、抗原受容体刺激時におけるIL-4の有無で検討した結果、GANP欠損B細胞では刺激後のSTAT6のリン酸化およびアルギニンメチル化の亢進、さらにSTAT6をリン酸化するJAK1,JAK3の活性化の亢進を認めた。この結果は、GANPが、結合するPRMT5の活性化を抑制的に制御し、JAK-STAT経路を調節している可能性を示唆した。STAT6の結合モチーフを持つルシフェラーゼレポーターコンストラクトを作製してCOS7細胞に恒常的に発現させ、これにGANPを過剰発現させると、IL-4刺激によるSTAT6の活性化が有意に抑制され、その作用はPRMT5の共発現により相殺された。このことからIL-4下流のJAK-STAT経路におけるGANP/PRMT5複合体を介した抑制的調節機能の存在が強く支持された。
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Research Products
(4 results)