2007 Fiscal Year Annual Research Report
病理解剖症例によるPBL-チュートリアル教育の実践と形態学ライブラリー構築の試み
Project/Area Number |
17590451
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小谷 泰一 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (20330582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真鍋 俊明 京都大学, 医学研究科, 教授 (10113200)
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Keywords | 医学教育 / 病理解剖症例 / PBL / チュートリアル / 形態学ライブラリー / 症例基盤型学習 / バーチャルスライド |
Research Abstract |
本研究の目的は、全人的医療を実践できる医師を育成するために、PBL-チュートリアル教育の教材として病理解剖症例を有効利用できる方法を開発し、学生が基礎医学から臨床医学までを一貫して学習できる医学教育の一方法を確立することである。 今年度は、肝硬変・肝癌(消化器系)症例と手術後肺動脈塞栓(循環器系)症例を選択し、医学部3年生の病理学各論実習でこの実習を実践した。学生からの評価は高く、前者は薬害肝炎、後者は医療関連死など最近の医療における問題点を取り扱った症例で、今回の症例を通して学生は医学に関わる知識のみならず、倫理面など医師として備えるべき資質を、学生同士の熱心な議論を通して学ぶことができた。これにより昨年度までの症例と併せて同様の教材が、呼吸器系2例、消化器系3例、循環器系2例、内分泌系1例、膠原病系1例、造血器系1例の計10症例整備された。 また、今年度も日本病理学会が推薦している約150疾患とさらに我々が必要と考えた約50疾患を併せた計200疾患を学生が学ぶべき疾患としてリストアップし、全ての疾患の質の高い組織標本を昨年度の110疾患に加えて揃えることができた。さらに、本年度はこれらすべてをバーチャルスライド化することができ、学生は昨年度組織実習室に設置したデスクトップパソコンや自宅のパソコンで顕微鏡を使用することなく閲覧することができるようになった。これにより、学生はWeb上に公開された種々の教材を参考に、仲間の学生や教員と同じモニター上で組織像を指さしながら、質疑応答、議論がきるようになり、組織像を容易に、また、深く理解できるようになった。 さらに、本年度はこの設備やバーチャルスライドを利用して、病理医や臨床医対象の病理診断教育セミナーを開催することができ、医師の生涯学習にも寄与することができた。
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Research Products
(4 results)