2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17590453
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
福本 陽平 山口大学, 医学部附属病院, 教授 (90136193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 不二夫 山口大学, 医学部附属病院, 助教授 (10253155)
小早川 節 山口大学, 医学部附属病院, 助手 (40363105)
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Keywords | 臨床能力 / コミュニケーション / 臨床パフォーマンス / 模擬患者 |
Research Abstract |
医師(研修医)の臨床パフォーマンスを客観的に検討するために、重症患者の終末期における患者、家族と医療者との対応を取り上げた。すなわち、終末期の診療方針の決定や判断を行う上で、患者中心の医療を考えた対応である。そこで、終末期患者への診療に関する医学部6年生の判断力や理解度の調査を行った。対象は病棟実習中の6年生86名である。方法は、重症終末期患者の仮想症例を作成し、ICUでの治療の選択や、延命拒否に対する認識についてアンケート調査を実施した。アンケートに用いた仮想症例は、肝硬変、肝癌の告知の後、説明された上で手術を承諾し実施されたが、術後に多臓器不全を起こした例である。患者は事前に延命治療の拒否を表明し、それは現状の医療水準では不治な状態に陥ること、生命が人為的治療のみで維持されることである。人工呼吸、血液濾過透析、血漿交換療法などの治療を続行中にもかかわらず、肝不全は進行状態にあった。そこで、この状態が、延命治療拒否の状態にあたるか、継続中の積極的治療をどうするか、鎮静薬投与の継続や心肺停止の際の蘇生術の施行など、医療現場での判断を質問した。その結果、患者の病態について、74.4%の学生は延命拒否の状態と考えた。その後の治療は、人工呼吸のみが27.2%、人工呼吸と循環作働薬が23.4%、家族の意見を優先するが22.2%であった。一方、延命拒否とは考えない学生は25.6%で、事前指示は無効が2.6%であった。また、心肺停止時に蘇生を行うが23.3%あった。以上の結果、患者の事前指示や尊厳のある状態についての理解は充分とは言えなかった。実際の医療現場での判断や医療倫理の問題について、具体的な臨床パフォーマンスの解析を行うことができた。
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