2006 Fiscal Year Annual Research Report
わが国の病院医療における診療領域別質評価指標の開発と臨床倫理の確立に関する研究
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17590460
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
寺崎 仁 日本大学, 医学部, 講師 (90227512)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大道 久 日本大学, 医学部, 教授 (60158805)
梅里 良正 日本大学, 医学部, 助教授 (60213485)
前田 幸宏 日本大学, 医学部, 助手 (10287641)
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Keywords | 医療の質 / 臨床指標 / 病院機能評価 / リハビリテーション / 臨床倫理 / 療養病床 / ADL区分 / 医療区分 |
Research Abstract |
平成18年度の研究作業は、前年度に引き続き基礎的な資料の収集や現地調査を行って、研究課題に関わる周辺状況の把握を行った。さらに、先行的な事例として紹介された病院の管理者を招請したり、また専門分野の研究者の元を訪問したりするなどして、意見交換の機会を持って本研究の進め方についての示唆や専門知識の集積に努めた。まず臨床倫理に関しては、わが国の研究者による書籍や資料の収集を行い、一部については電子化された資料として入手することができた。また、医療における組織倫理の専門家と意見交換するなどして、医療に関連した倫理的な問題を系統的に整理・分類することを試みた。医療分野の倫理的問題は、「医の倫理」「生命倫理」「臨床倫理」「職業倫理」「組織倫理」など様々な捉え方をされており、本研究の課題とした「臨床倫理」の問題が、果たして研究者の間で同じ意味に理解されるものなのかどうかは、研究の初期段階から懸念されたところであった。現在までの研究では、「臨床指標」など数値化されたデータによる評価が普及するにしたがって、医療に関わる専門職の行動にある種のバイアスを生じさせる可能性があり、それを防ぐための倫理基盤の構築を想定するならば、むしろ「組織倫理」という捉え方がより妥当ではないかという印象を持っようになった。一方、病院医療における領域別質評価指標の開発に関しては、研究代表者の寺崎が関与する財団法人日本医療機能評価機構における質評価指標の開発と連動して作業を進める予定であるが、研究費の制約と評価機構での担当分野との関係から、今後はリハビリテーションと療養病床における質評価に的を絞っていくことを考えている。この二つの領域は、平成18年の診療報酬改定を受けて、従来とかなり違った視点から診療報酬上の評価が行われるようになったため、それに対する現場の対応を把握する必要あり、日本療養病床協会の協力を得て、2つの長期療養型病院を訪問して療養病床における質評価への影響なども緊急的に調査した。
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